脳科学関連データの数理モデルに基づく統計解析手法を開発した. 知覚交替と脳波の関連性について,点過程に基づく統計数理モデル(オンラインアクティビティ回帰モデル)を構築し,モデルに基づく統計解析手法を開発した.点過程とは,地震や金融取引などのイベントの発生の時刻の列のモデル化に用いられる確率過程のクラスである.知覚交替をイベントととらえることにより,点過程モデルを用いたモデル化が可能になる.また,イベントの発生確率と,脳波の活動を結びつけることにより,脳活動と知覚交替の発生確率を関連づけるモデル化が可能にあなる.この手法を用いたデータ解析により,脳のどの部位の活動が知覚交替を促進あるいは抑制するかについて知見を得ることが可能になった.さらに,共同研究により,実データを解析することにより,提案手法であらたな知見を得ることができた. 従来の脳波の解析では,特定の注目する帯域のデータを取り出すため,周波数フィルタをデータに適用してから,振動成分の位相解析を行うのが一般的であった.しかし,この方法では,フィルタの帯域の選択に恣意性が残るという問題点があった.そこで,複数の振動子の重ね合わせでデータが構成されていることを表現んする統計数理モデルを開発し,モデルに基づいてデータから自動的に振動線分を抽出する統計解析手法を開発した.この手法は赤池情報量規準を用いており,振動子の個数も自動的にデータから決定することができ,既存手法の問題点を解決するものとなっている. また,開発した数理モデルに基づく統計解析手法を用いて領域内での共同研究に着手している.
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