研究領域 | 生物ナビゲーションのシステム科学 |
研究課題/領域番号 |
16H06536
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋本 浩一 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80228410)
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研究分担者 |
中井 淳一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80237198)
丹羽 伸介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30714985)
鏡 慎吾 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90361542)
荒井 翔悟 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80587874)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | ログボット / システム同定 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、ナビゲーションをシステム科学的手法により体系的に研究することを目的とする。ヒトや動物のさまざまなナビゲーションを数理モデルとして理解・解明し、将来的な予測や制御を目指す。ナビゲーションをナビ計測、ナビ分析、ナビ理解、ナビ検証のステップに分類し、ナビ計測のためのログボットの開発とナビ理解のためのシステム同定手法の開発を行う。 ログボットはGPS、カメラ、マイク、気圧計、加速度計などを搭載するオンボードコンピュータである。本年度はログボットの試作を行い、防水機能も付与して27グラムを達成した。ログボットの性能調査のため、地上におけるGPS精度、カメラ機能、加速度計測などを実施した。産業用ロボット手先にログボットを装着して、各種センサの精度検証を試みたが、ロボットの繰り返し精度の不足のため、信頼性のあるデータ検証は実施できなかった。しかし、H29に新規に産業用ロボットを購入し、精度検証を行い、設計通りの性能が達成できていることを確認した。 ログボットの野外動物への装着について、継続的に実施した。試作機から改良機、防水機能強化機などを製作し、生態系の研究班に配布して実験を行った。とくに、B01生態班、A02データ科学班と共同して、ログボットをオオミズナギドリに装着し、データ取得を試みた。初回試作機では失敗したものの、耐水性の不足を補強して実データの取得に成功した。また、コネクタ不良などが見られたので、改善を行い、屋外での利便性を高めた。 一方で、B02神経活動班との共同により、ロボット顕微鏡を用いて線虫の行動計測を行うとともに、行動解析結果に基づいて光による神経刺激を行うシステムを開発し、行動中の脳活動計測を実施した。また、A01データ科学班と共同し、機械学習により、線虫の行動から遺伝子変異を持つ個体のクラス分類を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ログボット試作機の装着実験を実施したこと。神経活動計測を実施したこと。データ科学に基づく行動モデリングを実施したことなどにより、おおむね順調に進展している。 H29年度にはロボットの精度検証を実施し、設計通りの性能が得られていることを確認した。また、野外試験も実施し、行動に基づくセンサ制御を実施した。これは当初の計画を前倒しで実施できたことになる。
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今後の研究の推進方策 |
ログボットの耐水性を向上し、軽量化とともに、行動に基づくセンサ制御をより広い種の動物で実施する。具体的には、加速度センサの出力を元に、主に採餌行動の抽出を行い、採餌行動のビデオ撮影を目指す。キバナウで成功したイベント駆動ログボットを他の動物で実施する。 B01生態班との共同により、多種類の動物にログボットを装着し、行動計測を行う。 A02データ科学班との共同により行動分類アルゴリズムを開発し、ログボットのイベント駆動を実施する。 B02神経班との共同により、行動中の脳活動計測に取り組み、介入実験を実施する。
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