計画研究
本計画研究では、代表研究者がこれまでに培ってきた最先端のマルチニューロン活動記録法により、数百個の場所細胞活動を同時記録する。加えて、ナビゲーションに至る体内と環境の情報を多次元的に同時計測する。そして、それら場所細胞と体内外の情報を対応させることで、記憶を参照し目的地へ導く地図記憶参照型ナビゲーションの機能を分析する。体外環境を動的に変化させる環境介入と、光遺伝学を活用した神経活動操作による神経活動介入を実施し、同定したモデルの妥当性を予測性能から検証する。この計測―分析―理解―検証サイクルを繰り返しながら、野外や3次元空間にも一般化できるナビゲーション機能を解明する。本年度は、実験室内を自由にナビゲーションするラット・マウスの場所細胞活動、局所脳波、位置、移動速度・加速度等を同時に計測する多次元データ計測システムを確立した。更に、無拘束で神経活動を記録することができるデータロガーを導入することにより、自然なナビゲーション行動と多次元データを対応させ収集することが可能になった。加えて、電子制御の開閉ゲートや光手掛かり提示装置などを配置し、それらをリアルタイムに制御することが可能なナビゲーション環境を構築した。B01飛龍と共同で実施するコウモリでの神経活動計測に備え、まず適切な実験パラダイムや設備の準備を始めた。神経活動計測については、麻酔下のげっ歯類で動作チェックするとともに、コウモリの海馬へ電極を留置する準備実験を実施した。B01依田の分担者牧口と共同で実施するサケの脳活動計測に向けた予備実験を共同で行った。マスを実験材料として電極とロガーの設置方法について検討した。A02前川と共同で実施するナビゲーション行動と神経活動の関係性の解析に向け、深層学習法を活用したマウスの移動行動の分析を実施したところ、健常マウスと病態モデルマウスの移動行動を高精度に弁別することができた。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、実験室内を自由にナビゲーションするラット・マウスの場所細胞活動、局所脳波、位置、移動速度・加速度等を同時に計測する多次元データ計測システムを確立した。更に、無拘束で神経活動を記録することができるデータロガーを導入することにより、自然なナビゲーション行動と多次元データを対応させ収集することが可能になった。加えて、電子制御の開閉ゲートや光手掛かり提示装置などを配置し、それらをリアルタイムに制御することが可能なナビゲーション環境を構築した。B01飛龍と共同で実施するコウモリでの神経活動計測に備え、まず適切な実験パラダイムや設備の準備を始めた。神経活動計測については、麻酔下のげっ歯類で動作チェックするとともに、コウモリの海馬へ電極を留置する準備実験を実施した。B01依田の分担者牧口と共同で実施するサケの脳活動計測に向けた予備実験を共同で行った。マスを実験材料として電極とロガーの設置方法について検討した。A02前川と共同で実施するナビゲーション行動と神経活動の関係性の解析に向け、深層学習法を活用したマウスの移動行動の分析を実施したところ、健常マウスと病態モデルマウスの移動行動を高精度に弁別することができた。以上のように、本研究で計画した課題を概ね達成することができたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
次年度以降は本格的な記録実験をスタートする。地図記憶を参照し目的地へナビゲーションする課題をラット・マウスに訓練する。多次元データ計測システムを活用して、課題遂行中のラット・マウスの海馬から場所細胞活動、局所脳波、動物の移動速度・加速度などを同時記録し続ける。様々な場所細胞の活動パターンの差異を記憶課題の違いと対応させ、地図記憶参照型ナビゲーションの機能を地図記憶の変化から解明する。A02前川との共同研究を通して、地図記憶参照型ナビゲーション中の移動行動を深層学習法により解析する。B01依田との共同研究を通して、海鳥(オオミズナギドリ)とサケあるいはマスの脳から脳神経活動を計測するシステムを構築し、長距離ナビゲーション中の脳神経活動を解明する。B01飛龍との共同研究を通して、飛翔中のコウモリ海馬から神経細胞活動・脳波を同時計測し、場所細胞活動を手掛かりとして、野外や3次元空間にも一般化できるナビゲーション機能を解明する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)
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