研究領域 | 新光合成:光エネルギー変換システムの再最適化 |
研究課題/領域番号 |
16H06559
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00226250)
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研究分担者 |
小山内 崇 明治大学, 農学部, 専任准教授 (60512316)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | ゲノムスケールモデル / システム生物学 / 光合成 |
研究実績の概要 |
食糧やエネルギー問題を解決するため、植物や藻類の「光合成の改良」は重要な課題である。現存の光合成生物は進化を遂げた局所環境に適応してプロトン駆動力によって「光エネルギーの効率的利用」と「過剰光からの防御」のバランスを調節している。本研究では、ゲノムスケール代謝モデル(GMM)の開発と光合成のシステム解析を行い、光合成をシステムとして統合理解することを目的とする。本計画班では、シアノバクテリアを実験材料に用い、光合成の素反応因子、環境に対する制御因子および光合成のメカニズム解明の成果を統合理解するシステムを開発し、光合成のシステム再最適化のための戦略立案を行うことを目的とする。また、各研究班の成果を盛り込んで光合成をシステムとして理解する道筋を明らかにする。 本年度は、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803野生株(GT)株の光合成および主要な代謝反応の情報を含み細胞全体を表現するゲノムスケールモデル(GMM)を用いて、各波長の光に対する光化学系におけるPSI、PSII励起比率を盛り込んで、電子伝達フラックスを予測した。本モデルは、暗反応と明反応を細胞全体で統一的に解析が可能なモデルとして構築した。また各波長における増殖の違いを予測することに成功した。さらに、一次代謝にかかわる酵素反応の生化学解析を行い、代謝活性と酸化還元力の関係などをシステムとして解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画班においては、光化学系の明反応と細胞の中枢代謝を見渡せるシステム生物学研究を展開している。本年度はゲノムスケールモデルを波長の異なる波長の光環境における光化学系電子伝達、代謝、増殖の違いが予測可能であることを確認した。また、代謝における生化学研究を進め、酸化還元力の果たす役割ついて議論した。これらの状況により順調に研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、シアノバクテリアSyn sp. PCC6803野生株(GT)株の光合成および主要な中枢代謝反応の情報を含むゲノムスケールモデル(GMM)によるシミュレーション結果と細胞増殖などの実験データを比較し、光合成活性や細胞増殖が議論可能なシミュレーション方法として確立する。また、定量プロテオーム解析、定量メタボローム解析、代謝フラックス解析を行って、光合成と中枢代謝のシステムとしての理解を深める。
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