研究領域 | 人工知能と脳科学の対照と融合 |
研究課題/領域番号 |
16H06569
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
谷口 忠大 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (80512251)
|
研究分担者 |
小林 一郎 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60281440)
松香 敏彦 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (30466693)
田口 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70508415)
|
研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
|
キーワード | ソフトコンピューティング / 知能ロボティクス / 人工知能 / 脳・神経 / 認知科学 |
研究実績の概要 |
各研究項目に関して以下の研究成果を挙げた. 1.二重分節解析と動的カテゴリ形成の脳内計算過程を表現する内部モデル計算論の構築:二重分節解析と動的カテゴリ形成のためには適切な特徴抽出と内部表現が重要である.深層学習を用いた時系列情報の内部表現学習に関して研究を行った.また,場所に関するカテゴリ情報と二重分節解析を結合させたモデルによって語彙獲得が促進されるという計算論モデルを構築した.相対位置概念の学習を含めた二重分節解析モデルに関して理論的研究を進めた. 2.二重分節解析と動的カテゴリ形成の脳内計算過程の解明:概念の流動性(動的カテゴリ)について行動実験を行って検証した.同じ対象を異なる表記によって適用される概念・知識が異なるか行動実験を用いて検証した.その結果,頻度の低い表記方法は具体性の高い特性が想起される一方で,使用頻度の高い表記方法に比べ一般的な概念が利用されるのが分かった.さらに統合失調症患者における脳内計算過程の疾患の解明に関して共同研究を進める上での基礎的調査を行った.また,反応時間を用いた実験から文理解時に発生する知覚運動シミュレーションの性質を検討し,文の時制と文で記述された行為の速度に関係があることから,概念は身体と連動し,シミュレーションされている可能性を示した.また,fMRIによる脳活動計測実験の予備実験を行った.二重分節解析の脳内計算過程の解明に関して基礎的調査を進めた. 3.自律的な言語獲得・運動学習を実現するロボットの創造:二重分節解析を音声語彙獲得に利用した後に,音声合成に利用するための研究を行った.実際にロボットが単語単位での発話を萌芽的なレベルで可能とした.深層学習を用いた動作概念の学習に関しても前年度に引き続き推進した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三つの課題に関してそれぞれに成果を挙げることができた.故に,総合的な判断としてはおおむね順調に進展していると言える.研究提案の課題が内部に高い多様性を保持しており,成果が多様に上がっている一方でこれらをどのように統合し,発展させ,成果としてまとめていくかが今後の課題である.また,新学術領域内部での共同研究に関しても,本年度は前年度に引き続き,準備段階であった.次年度は成果に繋がるように発展させたい.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画の通り, 1.二重分節解析と動的カテゴリ形成の脳内計算過程を表現する内部モデル計算論の構築 2.二重分節解析と動的カテゴリ形成の脳内計算過程の解明 3.自律的な言語獲得・運動学習を実現するロボットの創造 に関して研究を遂行していく.新学術領域の形成のために異分野融合,国際融合研究を積極的に推進していく.新学術領域内部での共同研究に関しても,明確な成果に繋がるように発展させていく.
|