前年度までに取得した健常者および統合失調症患者において物体の鮮明な視覚刺激とその視覚刺激にノイズを加えた曖昧視覚刺激を見せた時の脳活動データを解析を継続した。健常者と同様に、統合失調症患者において鮮明な画像を見た際の脳活動から物体の視覚刺激をデコード可能な状態にトレーニングされたデコーダーを用意し、曖昧な視覚刺激でも同様にデコーディングできることを確認した。患者に曖昧画像を見せた時の脳活動からデコーディングの成績は健常者と有意差はなかった。しかし、鮮明画像をdeep neural networkに入力した(特に高次視覚野に相当する層)のパターンと、脳活動からデコーディングされる特徴を両群での比較をしたところ、患者では脳活動からデコーディングされる特徴として、トップダウンの補完が強く、低次視覚野の処理の障害を代償していると考えられた。
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