精神疾患における思考の障害には概念形成や抽象化の障害等がある。特に、統合失調症において、中核的な症状である思考の障害の背景には、単語の意味ネットワークの異常が想定されてきたが、その神経基盤は不明であった。 人工知能技術の一つである自然言語処理と脳画像解析技術を組み合わせ、統合失調症の脳内意味表象の異常について検討した。動画を視聴中の脳活動を機能的 MRI にて計測した。健常者では、人間に関する単語、生物に関する単語、人工物に関する単語といったように概念ごとにクラスター形成を認められたが、統合失調症群ではそのクラスターの程度は明確ではなく、患者では脳内意味表象のネットワークの異常が示唆された。
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