研究領域 | 数理解析に基づく生体シグナル伝達システムの統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
16H06579
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
澤崎 達也 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (50314969)
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研究分担者 |
高橋 宏隆 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (70432804)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | ユビキチン / 無細胞プロテオミクス / プロテインアレイ / シグナル伝達経路 / 数理解析 / データベース構築 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、2万種のヒト組換えタンパク質からなるヒトプロテインアレイを用いて、Mib2 (CUBL1) と相互作用するタンパク質の同定、その相互作用タンパク質がTGF-βシグナルに関与する可能性を見出した。そこで本年度は、1種類の相互作用タンパク質(SMAD3)に絞り解析を行った。その結果、細胞内において、Mib2 はTGF-βシグナルに必須の転写因子であるSMAD3をK27およびK29のユビキチン鎖を付加することが明らかとなった。さらにそれらのユビキチン鎖付加SMAD3の分解を誘導するのではなく、逆に転写機能が活性化することが分かった。シクロヘキシミドを用いたトレース実験において、ユビキチン鎖付加SMAD3は安定化していた。ユビキチン鎖付加SMAD3プロテオソームでの分解を回避できたためだと考える。以上をまとめると、これらの結果は、Mib2はTGF-βシグナルの主要転写因子であるSMAD3にK27およびK29ユビキチン鎖付加し安定化させる正に制御することが分かった。 また、Mib2ノックアウトマウスの作製を行い、現在、全身でMib2欠損マウスが獲られる様に交配中である。 加えて、我々は昨年、植物ホルモンであるジベレリンの受容体GID1がGARUによりユビキチン化され分解されることを明らかにした(Nemoto, K, Nat Commun. 2017)。そこで、植物ジベレリン応答の数理解析シミュレーションを行った結果、ジベレリン応答において最も影響が大きいのは、ジベレリンの種類であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無細胞プレテオミクスで見出したMib2の基質であるSMAD3が細胞内での生物学的役割が明らかとなったから。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、20K-HUPAを用いたタンパク質-タンパク質相互作用解析技術のコストダウンおよび汎用性を高めるための条件の検討を行い、スクリーニングに必要なコスト削減を目指したシステムの改変を行う。
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