研究領域 | 代謝アダプテーションのトランスオミクス解析 |
研究課題/領域番号 |
17H06301
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 主幹教授 (80291508)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
|
キーワード | プロテオーム |
研究実績の概要 |
がんにおいて代謝状態が大きく変動していることは約90年前から知られた事実であるが、その変動の意義については不明の点が多い。われわれは全てのタンパク質の絶対量を大規模に解析できる次世代型プロテオミクス技術であるiMPAQT法を開発した(特許取得済)。本研究においては、iMPAQT法を用いて代謝酵素を網羅的に計測すると共に、馬場らとの共同研究によるメタボロミクス解析を同時に行って、がんにおける代謝状態の全体像の描出を行った。具体的には、がんにおける大規模な代謝リモデリングを研究するために、まずin vitroで正常状態と発がん状態を比較するための細胞株作製を行った。ヒト由来正常細胞株であるTIG-3(肺由来線維芽細胞)にhTert、SV40 ER、c-Myc(または活性化変異Ras、Akt1)をレトロウイルスベクターで導入し、トランスフォームさせたTSM(またはTSR、TSA)株を作出した。これらの細胞における全代謝酵素測定をiMPAQTシステムによって施行し、がんにおける大規模な代謝変動を捉えることに成功した。特にグルコースからの炭素代謝やグルタミンからの窒素代謝が大きく変動しており、そのキー酵素を同定することができた。代謝酵素の変動をタンパク質レベルで直接かつ網羅的に測定できる次世代プロテオミクスであるiMPAQTシステムは、正確性・網羅性・効率性に優れ、がんだけでなく多くの疾患における代謝状態の変化を捉える非常に有用なシステムであり、そのネットワーク解析から得られた知見は、既存の大規模がんデータと非常に合致するものであった。また、そのネットワーク解析から浮かび上がってきたがん代謝のキー酵素は、既に抗がん剤標的として阻害剤開発が開始されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代謝酵素の変動をタンパク質レベルで直接かつ網羅的に測定できる次世代プロテオミクスであるiMPAQTシステムは、正確性・網羅性・効率性に優れ、がんだけでなく多くの疾患における代謝状態の変化を捉える非常に有用なシステムであり、そのネットワーク解析から得られた知見は、既存の大規模がんデータと非常に合致するものであった。また、そのネットワーク解析から浮かび上がってきたがん代謝のキー酵素は、AMEDの支援によって、既に抗がん剤標的として阻害剤開発が開始されている。
|
今後の研究の推進方策 |
特別推進研究採択により平成30年度途中で当該課題は中止したため、今後の研究計画、方法等については記入しない。
|