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2020 年度 実績報告書

次世代メタボローム解析技術開発と応用

計画研究

研究領域代謝アダプテーションのトランスオミクス解析
研究課題/領域番号 17H06304
研究機関九州大学

研究代表者

馬場 健史  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10432444)

研究分担者 山田 健一  九州大学, 薬学研究院, 教授 (60346806)
和泉 自泰  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70622166) [辞退]
相馬 悠希  九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (80781955) [辞退]
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワードメタボローム解析 / メタボロミクス / トランスオミクス / 代謝アダプテーション
研究実績の概要

本年度も引き続き定量メタボローム分析系の開発に取り組み,GC/MSにおける定量ライブラリの構築について論文発表を行った(Hata. K. et.al., Metabolites, 11(4), 207,2021).さらに,高親水性代謝物の分析系として一般的に用いられているHILICカラムを用いたLC/MS分析系,ペンタフルオロフェニル(PFP)カラムを用いたLC/MS分析系と,我々のグループで開発した親水性相互作用/陰イオン交換クロマトグラフィー(HILIC/AEX)によるLC/MS分析系との比較を行い,定量メタボローム分析における実用性を検証した.これまで一般的に用いられてきたHILICカラムに対する,HILIC/AEX およびPFPカラムを用いた分析系の優位性が示され,それぞれの分析系をサンプル(ターゲット化合物)により使い分けることが必要であることが分かった(論文投稿準備中).
また,定量メタボローム分析用安定同位体ラベル化標準品の作成においては,微生物を用いたin vivo合成による安定同位体内部標準品群(Stable Isotope Labeled Internal Standard: SILIS)の作成に大陽日酸と連携して取り組んだ.さらに,得られたSILISを用いて定量データの取得に成功した(論文投稿済).
また,定量メタボロームデータ解析手法の開発についても,実データを用いて解析アルゴリズム,ソフトウエアの開発にも引き続き取り組んだ.SFC/MSにおける定量リピドーム解析用のライブラリならびに専用解析ソフトウエアの開発に取り組み,データ解析のスループットと精度を向上させるデータ処理法の開発に成功し(特許出願),ソフトウエアも開発した.
構築した分析法を用いて,領域内外の共同研究者と連携しながら分析系の検証および各種代謝アダプテーションに関する応用研究を実施した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでに開発したSFC/MS/MSリピドーム分析系,GC/MS定量ライブラリcalibration curve locking database(CCDL),親水性相互作用/陰イオン交換クロマトグラフィータンデム質量分析分析系(HILIC/AEX/MS/MS),アミノ酸,有機酸,糖類,脂肪酸をターゲットした個別分析系は,国内内外で高い評価を受けており,メーカーとも協力して他施設での比較実験や実用化に向けた開発に取り組んでいる.
また,定量メタボローム分析用安定同位体ラベル化標準品調製技術の開発については,微生物におけるin vivo合成技術の基盤構築に成功し(論文投稿済),大陽日酸株式会社と連携して安定同位体内部標準品群(Stable Isotope Labeled Internal Standard: SILIS)の実用化技術の開発に取り組んでいる.
また,定量メタボロームデータ解析技術の開発については,SFC/MSにおける定量リピドーム解析用のライブラリならびに専用解析ソフトウエアの開発に成功し(特許出願),専用ソフトウエアも開発し,ベンチャー企業を設立して上市予定である.
さらに,これまでに開発したメタボローム分析システムを用いて,領域内外との研究者と積極的に共同研究に取り組み,代謝アダプテーションに関する応用研究において,成果を挙げることができている.
上記のとおり,研究開発は当初の計画より進展している状況である.

今後の研究の推進方策

定量メタボローム分析系の開発においては,引き続きHILIC/AEX/MS/MS分析系における対象親水性代謝物の拡充を図るともに,カラムの上市およびメソッドの一般化に向けた取り組みをメーカーとも連携して行う.また,GC/MSにおけるCCLD定量ライブラリの構築,SFC/MS分析系における定量リピドーム分析システムの開発についても同様に解析対象代謝物の拡充,実サンプルの測定を実施し,メソッドの一般化に向けた取り組みをメーカーとも連携して行う.さらに,生体サンプルを用いて構築した手法のバリデーションおよび各種サンプルにおけるメタボロームデータの取得を積極的に試みる.
定量解析用安定同位体ラベル化標準品の調製においては,引き続き安定同位体内部標準品群(Stable Isotope Labeled Internal Standard: SILIS)生産のための技術開発を進める.各種モデル生物を用いたin vivoでのSILIS合成では使用宿主を拡張するとともに,大腸菌を中心として合成代謝経路導入と代謝工学的宿主改変を適用することで野生型大腸菌に本来含まれない代謝物や,その他の宿主も含めて細胞内存在量の少ない代謝物を多く含有するSILIS生産基盤の構築に取り組む.さらに,上記メタボローム分析系への適用を図り,定量メタボロームデータの取得が可能なシステムの構築に取り組む.定量メタボロームデータ解析手法の開発についても,実データを用いて解析手法の開発を進めるとともに,実用化システムの構築に向けた各種取り組みを進める.
以上の次世代定量メタボローム分析法の開発を進めるとともに,現状の分析法を用いて,共同研究者と連携しながら各種代謝アダプテーション研究に精力的に取り組む.

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 10件) 図書 (1件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] Calibration-curve-locking database for semi-quantitative metabolomics by gas chromatography/mass spectrometry2021

    • 著者名/発表者名
      Hata, K., Soma, Y., Yamashita, T., Takahashi, M., Sugitate, K., Serino, T., Miyagawa, H., Suzuki, K., Yamada, K., Kawamukai, T., Shiota, T., Izumi, Y., Bamba, T.
    • 雑誌名

      Metabolites

      巻: 11(4) ページ: 207

    • DOI

      10.3390/metabo11040207

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Method for structural determination of lipid-derived radicals2020

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka, Y., Izumi, Y., Takahashi, M., Bamba, T., Yamada, KI.
    • 雑誌名

      Anal. Chem.

      巻: 92 (10) ページ: 6993-7002

    • DOI

      10.1021/acs.analchem.0c00053

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a novel comprehensive analytical method for volatile compounds using supercritical fluid chromatography/mass spectrometry with a highly cross-linked styrene divinylbenzene polymer-based column2020

    • 著者名/発表者名
      Fujito, Y., Hayakawa, Y., Bamba, T.
    • 雑誌名

      J. Chromatogr. A

      巻: 1626 ページ: 461363

    • DOI

      10.1016/j.chroma.2020.461363

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a novel method for polar metabolite profiling by supercritical fluid chromatography/tandem mass spectrometry2020

    • 著者名/発表者名
      Konya, Y., Izumi, Y., Bamba, T.
    • 雑誌名

      J. Chromatogr. A

      巻: 1632 ページ: 461587

    • DOI

      10.1016/j.chroma.2020.461587

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dynamic Metabolome Analysis Reveals the Metabolic Fate of Medium-Chain Fatty Acids in AML12 Cells2020

    • 著者名/発表者名
      Fushimi, T., Izumi, Y., Takahashi, M., Hata, K., Murano, Y., Bamba, T.
    • 雑誌名

      J. Agric. Food Chem.

      巻: 68 (43) ページ: 11997-12010

    • DOI

      10.1021/acs.jafc.0c04723

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of wide-targeted lipidomics system by using SFC-triple quadrupole MS2021

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Bamba
    • 学会等名
      9th International Singapore Lipid Symposium (iSLS 9)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ワイドターゲット定量リピドーム分析システムを用いた馬場メソッド~リピドーム分析の課題を解決!~2021

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      Waters Webinar
    • 招待講演
  • [学会発表] メタボロミクスを実施する上での重要ポイント2021

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2021年度大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 親水性代謝物のワイドターゲットメタボローム分析のプロトコル2021

    • 著者名/発表者名
      和泉自泰
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2021年度大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 超臨界流体クロマトグラフィーって何ができるの?2020

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      島津Webinar
    • 招待講演
  • [学会発表] 次世代超臨界流体抽出分離装置の開発2020

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2020年度 中四国支部大会(第57回 講演会)産学連携シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] メタボロームデータ取得方法の現状と課題2020

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      ゲノム創薬・創発フォーラム 第四回 シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] メタボローム分析の最新動向と今後の課題2020

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      第31回 クロマトグラフィー科学会議
    • 招待講演
  • [学会発表] メタボロミクスの最新動向2020

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      プラズマバイオコンソーシアム 2020年度研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] オートサンプラーのニードル内混合機能を活用したアミノ酸の自動蛍光誘導体化分析法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      下平武彦,相馬悠希,品玉匠司,大城真愛,早川禎宏,和泉自泰,馬場健史
    • 学会等名
      2020年度 日本フードファクター学会・日本農芸化学会西日本支部合同大会(第332回 講演会)
  • [学会発表] 定量メタボローム解析の事業化に向けた取り組み2020

    • 著者名/発表者名
      馬場健史
    • 学会等名
      2020年度 第5回 九州大学ベンチャーエコシステム連絡会
    • 招待講演
  • [図書] メタボロミクス実践ガイド~サンプル調製からデータ解析まで、あなたに合った実験デザインと達人テクニック2021

    • 著者名/発表者名
      馬場健史,平山明由,松田史生,津川裕司
    • 総ページ数
      334
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-2251-1
  • [産業財産権] 解析システム、解析方法及びプログラム2020

    • 発明者名
      馬場健史,中尾素直
    • 権利者名
      馬場健史,中尾素直
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-174413
  • [産業財産権] 分析支援装置、分析支援方法、分析支援プログラムおよび分析システム2020

    • 発明者名
      藤戸由佳,酒井美穂,馬場健史
    • 権利者名
      藤戸由佳,酒井美穂,馬場健史
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-126551

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公開日: 2024-12-25  

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