研究領域 | 代謝アダプテーションのトランスオミクス解析 |
研究課題/領域番号 |
17H06305
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆司 九州大学, 医学研究院, 教授 (90201326)
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研究分担者 |
梅山 大地 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (30706370)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | エピゲノム / DNAメチル化 / PBAT / TACSライゲーション / DamID |
研究実績の概要 |
次世代メチローム解析技術の開発:次世代型PBATの基盤技術としてTACS ligation法を開発し、これとランダムプライミングを組み合わせたtPBAT法を確立して、論文投稿を行った。tPBAT法では、2回のランダムプライミングに基づくPBAT原法の欠点であったライブラリ断片長の短さが改善され、極微量解析時におけるマッピング効率の低下(人工産物の増加)も抑制された。前者によってペアエンドモードでの配列決定が効果的になり、HiSeqX10およびNovaSeqと組み合わせることで高出力を確保することができた。更に、アダプタ付加方向が異なる2種類のライブラリを並行して作成して混合後に配列決定を行うデュアルライブラリ戦略を考案・実装することによって、色補正用スパイクインDNAが不要になり、機器の出力を100%データ産生に向けることも可能となった。tPBATについては領域内のメチローム解析支援にも活用されて、順調に稼働中である。また、これらを応用してヒストン変異脳腫瘍のWGBS解析を進めると同時に、コレステロール負荷による血管平滑筋細胞の分化過程のWGBSおよびTAB-seq解析も実施した。 一方でGC含量によるバイアスについては、最初のランダムプライミングステップを残したtPBATによる改善は求められなかった。そこで昨年度に見出したバイサルファイト変換DNAの末端修復反応にTACS ligationを組み合わせることによって、ランダムプライミングを完全に排除したttPBATを開発し、各段に均一性の増したゲノムカバレージが得られることを確認した。
次世代ゲノムフットプリント法の開発:DMS-seqに関しては、詳細プロトコルの論文発表を行い、ライブラリ作成法の改良を進めた。DamID-seqについても最適化を進め、ナノポアシーケンサーによる検出等も試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PBATの改良は順調に進行しており、領域内支援にも反映が出来ている。新規エピゲノム解析技術の開発についてもそれぞれに興味深い成果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
PBATの究極型への道筋も明らかになってきたので、その完成を急ぐ。更にそれを活かした多層エピゲノム解析を目指して、各種エピジェネティックシグナルを人工的メチル化としてゲノムにエンコードした上で内在性のメチル化とともにPBATで読み解く方向の技術開発に注力したい。
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