研究領域 | 代謝アダプテーションのトランスオミクス解析 |
研究課題/領域番号 |
17H06307
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角田 達彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10273468)
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研究分担者 |
重水 大智 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, メディカルゲノムセンター, ユニット長 (70617464)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | トランスオミクス / 代謝アダプテーション / オミクス解析 |
研究実績の概要 |
本計画研究では、トランスオミクス統計解析手法を提案・開発し、各オミクス計測と応用の研究者と連携しオミクスデータを解析することで、トランスオミクスを読み解き、疾患や生体における代謝状態の変化を体系的網羅的に明らかにすることを目的とする。知識型とし、ゲノムアノテーションによる因子候補の制約・絞り込みを行う方法を開発した。そのために発現とエピゲノムやTF結合、SNP/SNV/変異、そしてNBDCから取得した公共DBを用いた。その結果、I型もしくはインスリン抵抗性糖尿病の診断方法の解析に貢献できた(Diabetes Research and Clinical Practice 2020)。因果・階層型とし、様々な細胞種のeQTL、GTEx(全身の各組織部位)による組織特異的なゲノム配列と遺伝子発現の階層構造を用いてトランスオミクス解析を行う方法、発現から免疫細胞プロファイルを推定する方法を開発してきた。それに加え、アミノ酸残基行列やアミノ酸の構造的な属性によりリシンのホスホグリセリン酸化翻訳後修飾を予測する手法(Genes 2020a、Genes 2020b)、HMMによってシングルストランドとダブルストランドのDNAにタンパク質が結合するかを予測する手法(Analytical Biochemistry 2020)、また深層学習によってタンパク質とペプチドが結合する部位を予測する手法(Journal of Theoretical Biology 2020)を開発した。統合型とし、タンパク質間相互作用、パスウェイ、Gene Ontologyネットワークによって分子間相互作用を統合して解析する方法提案してきた。それを応用した例として、軽度認知障害からアルツハイマー病に移行するかを診断予測する方法(Alzheimer's Research & Therapy 2020)などを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も、トランスオミクス解析の方法論の実装を順調に進めることができた。知識型解析手法、因果・階層型手法、統合型解析手法の開発では、アミノ酸残基行列やアミノ酸の構造的な属性によりリシンのホスホグリセリン酸化翻訳後修飾を予測する手法やHMMによってシングルストランドとダブルストランドのDNAにタンパク質が結合するかを予測する手法、そして深層学習によってタンパク質とペプチドが結合する部位を予測する手法の開発に成功しており、個々の手法開発と、実データ解析の両方に関して論文の投稿と出版がなされている。さらなる実データ解析での数理的貢献として、軽度認知障害からアルツハイマー病に移行するかを診断予測する方法への貢献もできたことから、現実世界への適用もさらに進んだ。そして臨床検体を用いたがん免疫研究にて手法の有効性を検証できており、また黒田班との連携に関しても、ヒトのゲノムワイド関連解析とマウスを用いた代謝疾患解析を領域内連携によって行っていることから、計画は順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、最終年度に向けて、大規模データによる現象解析をA01、A02と公募班との連携により進め、統計解析によるデータ駆動型解析と実証、成果の創出をさらに進める。まず、トランスオミクス解析手法の実データへの適応、フィードバックによる精度の向上を行う。知識型解析手法では、エピゲノムやトランスクリプトーム、染色体構造などのアノテーションデータにより、ゲノムから代謝にいたる制約を見出すことでフィルタリングを行う体系的手法を実データに適用し、成果をまとめる。因果・階層型手法では、領域内で得られる計測データを用い、ゲノムとトランスクリプトーム間から始まる層間の分子の依存関係を、代謝パスウェイへマッピングすることで、代謝に関わるゲノム多様性を実データで同定する。統合型解析手法では、外部データベースや領域内の測定データから生物学的知見を入れ込み、疾患のヘテロ性と原因の相補性を解くため、高次元空間からの次元圧縮、特徴抽出、特徴選択を行う数学的手法と、多階層オミクスデータを同時に扱う枠組みを実証する。そして本計画での独自のがん免疫の臨床検体のデータで成果を出すととももに、A02計画班でのメタボローム(馬場)、ゲノム(鈴木)、エピゲノム(伊藤)、トランスクリプトーム(鈴木)、プロテオーム(中山)計測のデータを用いて連携により結果を出す。解析対象とし、本計画でのがんの臨床検体によるがん免疫、A01計画班の2型糖尿病モデルマウスを用いた代謝疾患(黒田)、がん細胞(中山)、炎症の発症や慢性化(岡田)、薬剤耐性(松田)の代謝アダプテーションを、連携して研究する。また公募班と連携し、実データへの適用と実証、精度の向上を進め、成果にする。
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