研究領域 | 脳情報動態を規定する多領野連関と並列処理 |
研究課題/領域番号 |
17H06313
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
喜多村 和郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60423159)
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研究分担者 |
徳田 功 立命館大学, 理工学部, 教授 (00261389)
山崎 美和子 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10431305)
HOANG・THIEN HUU 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (50772307)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 神経科学 / 大脳小脳 / 2光子イメージング |
研究実績の概要 |
レバー引き課題実行中のマウス小脳において、2光子イメージングによる登上線維シグナルの解析を行った。レバー引きに成功した試行に限って解析をしたところ、レバー引き運動対して、レバー引き前、レバー引き時、レバー保持時、報酬獲得時の様々なタイミングで登上線維の入力があることが明らかとなった。クラスタリングにより反応タイプを分類した結果、同じ反応タイプを示す細胞は空間的にもクラスタを形成していることがわかり、またそれぞれのクラスタは自発活動の同期性から決定したクラスタと高い割合で一致することから、小脳のマイクロゾーン・マイクロコンプレックス仮説を支持する結果となった。一方、これらの登上線維シグナルがレバー引き運動のどのような情報をコードしているのかを明らかにするために、まず、活動と運動パラメータの相関を調べたところ、登上線維入力による反応は、レバー引きの振幅が大きくかつ保持時間が長い成功試行でより高いことがわかった。さらに、一部の細胞では報酬獲得と相関を示した。 小脳の非運動機能について大脳との連関を明らかにするため、音弁別Go/No-go課題を行っているマウス小脳からの2光子イメージングを行った。小脳の機能モジュールであるゾーン構造ごとの機能を調べるため、この実験は、ゾーンを可視化できるAldoc-tdTomatoマウスを用いて行った。小脳半球第二脚において、ゾーンごとの機能を調べたところ、運動の準備、実行、開始時間、速度など運動のパラメータに加えて、一部のゾーン(特に大脳ー小脳ループを形成する外側部)において、Go/No-goシグナルや報酬など運動とは直接関係のない課題のパラメータを表現していることが明らかとなった。また、運動機能と非運動機能をより明確に解析するための遅延課題の訓練を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、Go/No-go課題中の小脳ゾーンごとの登上線維シグナルの情報表現を明らかにし論文として発表した(Tsutsumi et al., eLife, 2019)。また登上線維のレバー引き運動に関する情報動態の解析を進め、論文化できるだけの結果が得られている。また、訓練に時間のかかる遅延課題についても順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
レバー引き運動中の登上線維シグナル解析について、論文として発表するとともに、小脳回路の計算機モデルによるレバー引き運動の情報動態解析を領域内の共同研究としてすすめる。遅延課題について訓練を進め、イメージングの実験を行う。大脳小脳間の機能的結合についての論文を発表する。
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