計画研究
「海鷹丸」「しらせ」「開洋丸」により、集中的な海洋観測を東南極最大の氷床減少域であるトッテン氷河の沖合で実施し、定在する巨大な海洋渦が沖合の暖水を効率的に氷河方向へ輸送していること等を明らかにした。「しらせ」では陸棚域でも詳細な海洋観測を行い、同時に取得した海底地形や係留系データと数値モデル実験も合わせて、トッテン氷河前面へ至る暖水の輸送過程や特性の一部を明らかにした。沖合いの陸棚斜面から陸棚上に侵入した周極深層水起源の暖水は、お盆のような形状の地形のもとで生ずる時計回りの循環によって沿岸に近づき、陸棚上にある氷河へと延びるいくつかの海底峡谷を通って氷河下面に供給されることがわかった。一方、「開洋丸」の観測からは、南極底層水の10 年規模の変動について、ここ30 年ほどは塩分が低下していたが、2010 年代後半に塩分増加に転じたことが解明され、氷床融解の変動に起因する東方(ロス海)の底層水の塩分増加の影響であるとの仮説が提唱された。また、周極深層水を南極方向に輸送する渦の活発化も観測された。「海鷹丸」の観測からは、豪州南極海盆の下部子午面循環の浅化と南豪州海盆への南極底層水供給量の減少が推定された。「白鳳丸」での係留系や化学トレーサー・栄養塩等の観測から、ケープダンレー底層水(CDBW)の循環時間スケールや底層水形成に伴う物質循環を解明した。特に、陸棚上で生成される高密度水がCDBWとして北西方向へ輸送される際、有機物分解による炭素や栄養塩濃度の増加が見られないことや、CDBWによる人為起源CO2輸送量が南極底層水全体の10%を占めることを突き止めた。以上の研究成果は、Scientific Reports やCommunications Earth & Environment等の雑誌にそれぞれ複数の論文として掲載された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
【受賞】田村岳史:2021年度日本気象学会堀内賞「海氷生産量のグローバルマッピングによる地球気候の研究」,日本気象学会,2021年9月.【一般向け講演】大島慶一郎:地球温暖化って本当?どんなことが起こるのか?.「備える:ウィズコロナの時代をどう生きるか」北海道大学公開講座,Zoomオンライン開催,2021年6月10日.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 4件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 12件、 招待講演 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Geophysical Research Letters
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Scientific Reports
巻: 12 ページ: -
10.1038/s41598-022-12109-4
Communications Earth & Environment
巻: 3 ページ: -
10.1038/s43247-022-00445-2
Journal of Geophysical Research: Oceans
巻: 127 ページ: -
10.1029/2021JC017838
Science Advances
巻: 8 ページ: eadc9174
10.1126/sciadv.adc9174
Communications Earth & Environment
10.1038/s43247-022-00456-z
Ocean Modelling
巻: 165 ページ: 101843
10.1016/j.ocemod.2021.101843
Journal of Atmospheric and Oceanic Technology
巻: 38 ページ: 823~835
10.1175/JTECH-D-20-0145.1
Frontiers in Marine Science
巻: 8 ページ: -
10.3389/fmars.2021.657119
巻: 7 ページ: eabf8755
10.1126/sciadv.abf8755
Limnology and Oceanography
巻: 66 ページ: 3740~3753
10.1002/lno.11914
巻: 2 ページ: -
10.1038/s43247-021-00217-4
https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20211026-2.html