研究分担者 |
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
板木 拓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (30509724)
佐藤 暢 専修大学, 経営学部, 教授 (50365847)
井尻 暁 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70374212)
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研究実績の概要 |
海底コアと南極氷床コアとの年代精密対比のために、南大洋の大西洋区や太平洋区の海底コアで利用されているダスト指標による対比の有効性をインド洋区の海底コア(DCR-1PC)で検討した。一定の精度を保った状態でダスト対比が可能であることが判明したが、インド洋区ではダスト変動の地域性や火山砕屑物の混入などのローカルなバイアスを十分に考慮する必要があることが初めて明らかとなった(Matsui et al., 2022)。 珪藻や放散虫の群集解析データに基づいて、南大洋インド洋区の表層水温および亜表層水温を復元したところ、MIS5eと9の間氷期ではMIS1や7に比べて有意に水温が高いことが明らかとなり(Shukla et al., 2021, Civel-Mazens et al., 2021)、ケルゲレン海台付近では、スーパー間氷期には南極前線が5度程度南下していたと推測される。最終間氷期には、東南極オーロラ海盆域の氷床が有意に融解していた可能性が指摘された(Iizuka et al., 準備中)。また、スコチア海深海掘削コアの解析からは、氷期には海氷分布が拡大し、南極底層水とウェッデル循環が弱化したことが大気CO2濃度の低下に寄与していたと考えられる(Weber et al., 2022)。 ケープダンレー底層水形成史に関しては、係留系観測から明らかとなっていたワイルドキャニオンにおける高密度水(底層水)の流下現象に伴って海底表面にリップルが形成されていることを発見し、砕屑粒子や生物遺骸が巻き上がって混濁した状態で沖合へ輸送されてから海底へ沈積していることがセジメントトラップ試料の解析から見いだされた。また、陸棚を含むワイルドキャニオン周辺海域の表層堆積物の解析から、ケープダンレー底層水を特徴付ける粘土鉱物、重鉱物、粒度分布が判明し、海底コア解析に応用することで底層水形成変動の復元が可能となった。
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