計画研究
感情の知覚には顔や身体表現(視覚情報)のみならず、声(聴覚情報)も利用され、感覚間統合が本質的な役割を果たしている。これまでの研究の結果、他者の感情を知覚するとき、欧米人は顔への依存性が高いのに対し、日本人は声への依存性が高いことがわかっている。本計画班では顔・身体・声の認識様式の文化的多様性の根源として、感覚間統合を含む「情報統合」に着目する。そして、幼児期から成人にかけて感情知覚における複数情報統合の様式がどのように変化するのかを比較文化的に検討し、これらの知見を統一的に説明する理論的枠組みの提唱をめざす。今年度は以下の通り研究が進展した。①感情の表出と知覚をつなぐ表情模倣のメカニズムについて検討を進め、表情模倣は単なる「模倣」ではなく、同じ表情を見たときでもその表情に対する評価によって表情模倣のパターンが変化することを明らかにした。②欧米圏から日本への移住者による視聴覚感情知覚とその際の脳活動をfMRIで計測した結果についてさらに解析を進め、移住先の文化に関わらず、移住者は声色の影響を受けにくく、表情の影響を受けやすくなる可能性を示唆する結果を得た。③視聴覚との比較対象として触覚の研究を進め、タッチは音声よりもポジティブ感情を伝えやすく、特に利他感情の伝達を得意としていることが明らかとなった。④身体の所有感および主体感について研究を進めた。自分の身体から発声しているのに他人の声やヘリウム声がフィードバックされる状況に順応すると、自分の声に対する所有感が変化することを明らかにした。また、自分の運動に対してポジティブな他者表情がフィードバックされると自己主体感が高まることを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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i-Perception
巻: 14(2) ページ: 1,12
10.1177/20416695231160420
International Journal of Social Robotics
巻: - ページ: -
10.1007/s12369-022-00917-7
Acoustical Science and Technology
巻: 43 ページ: 291,293
https://tanakalab.sakura.ne.jp/