計画研究
本年度は、生体内における小分子の動態とタンパク質への結合を可視化する新技術として「FixEL法」の開発に成功した。FixEL法は、動物体内という究極の分子夾雑環境下での小分子の分布を高い解像度と時間分解能で画像化することを可能とする。本手法では、標的小分子へアミノ基と蛍光色素を修飾した分子を生きた動物体内に投与後、パラホルムアルデヒドによる全身固定化処理を施すことで、その瞬間における小分子の局在を蛍光色素とともに生体内に固定することが出来る。具体的には、代謝型グルタミン酸受容体特異的に結合する小分子リガンドのマウス脳内における高解像度動態解析を達成した。さらに、AMPA型グルタミン酸受容体に結合する小分子リガンドやドパミンD2受容体に結合する統合失調薬スピペロンのマウス脳内での分布解析に成功した。生きた細胞内におけるオルガネラ選択的脂質ラベル化・イメージング技術に関しては、フローサイトメトリー法と融合することで、一細胞における脂質代謝の量と空間の特徴を超高速に捉えることを可能とする「O-ClickFC」法を世界で初めて開発した。さらに、CRISPER-KO技術に適用することで、脂質代謝に関与する遺伝子の網羅的探索を行い、これまでに報告のなかった新規コリン輸送タンパク質を見出すことに成功した。多成分複合型超分子自己集合体を用いた分子夾雑系の人工構築に関しては、小分子モノマーの自己集合によって形成される超分子ゲルと高分子ゲルから成る複合ヒドロゲルのネットワーク構造が少なくとも4種類に分類できることを世界で初めて発見し、ヒドロゲルネットワークを形成する網目構造を制御する因子を特定した。本研究の成果は、時空間特異的かつ階層的に構造や機能を制御可能な次世代マテリアルや薬物除放材料・組織工学/再生医療材料の開発に向けた大きな一助として様々な分野への幅広い貢献が期待できる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 10件)
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