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2018 年度 実績報告書

生体夾雑系におけるタンパク質不可逆阻害のための有機化学の開拓と創薬展開

計画研究

研究領域分子夾雑の生命化学
研究課題/領域番号 17H06349
研究機関九州大学

研究代表者

王子田 彰夫  九州大学, 薬学研究院, 教授 (10343328)

研究分担者 小野 真弓  九州大学, 薬学研究院, 特任教授 (80128347)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワードコバレントドラッグ / タンパク質 / 不可逆阻害 / がん / 感染症
研究実績の概要

EGFRを標的としたCFA基を有するコバレントドラッグの開発では、CFA型のキナゾリン誘導体NS-062が、担がんマウスに対する経口投与実験において腫瘍内に到達しEGFRと共有結合を形成していることを証明することに成功した。
マラリアや結核を標的とする反応性化合物ライブラリーの探索研究においては、昨年度までに見出したヒット化合物周辺の構造活性相関を実施し、IC50値にして数マイクロモーラーの阻害活性を有する化合物を見出すことに成功した。
コバレントドラッグに有用な新たな反応基としてビシクロブタンアミドを持つブルートンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤の開発を行った。ピラゾロピリミジン骨格を有する複数の誘導体の中から、細胞内においてBTK選択的に共有結合を形成する阻害剤を見出すことに成功した。一方で、βークロロフルオロエチルアミン(CFE)をコバレントドラッグの反応基として開発する研究では、CFEの水中での環化活性化や生じる環化体の加水分解反応に関する特性を評価し、その特異な反応性を明らかとした。
夾雑系の有機化学化学研究として、細胞内代謝反応であるベータ酸化を蛍光イメージングできる反応性プローブの開発を進め、昨年までにクマリン型蛍光プローブが有用である結果を得ている。今年度は、この蛍光プローブを用いることで、複数の薬剤によるベータ酸化の活性変化を検出できることを見出し、ベータ酸化に関わるコバレントドラッグ探索研究への道筋を切り開くことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本申請研究の初期の主要テーマであるCFA基を利用したコバレントドラッグ開発研究において十分な成果を収め、論文発表することができた。その他の複数の研究テーマについても、おおむね当初の計画に沿ったかたちで研究が進行している状況にある。

今後の研究の推進方策

現在進めている各研究テーマを引き続いて進める。特にコバレントドラッグ開発に有用な新しい反応基の開発は特に精力的に取り組む。また、これまでにない新規な阻害様式を発現できるコバレントドラッグの反応基の開拓と応用を進める。以上の研究を通じて、本申請研究の目標であるコバレントドラッグ開発のための創薬有機化学の確立を目指す。

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Selective and Reversible Modification of Kinase Cysteines with Chlorofluoroacetamides2019

    • 著者名/発表者名
      N. Shindo, H. Fuchida, M. Sato, K. Watari, T. Shibata, K. Kuwata, C. Miura1, K.Okamoto, Y. Hatsuyama, K. Tokunag1, S. Sakamoto, S. Morimoto, Y. Abe, M. Shiroishi, J. M. M. Caaveiro, T. Ueda, T. Tamura, N. Matsunaga, T. Nakao, S. Koyanagi, S. Ohdo, Y. Yamaguchi, I. Hamachi, M. Ono, A. Ojida
    • 雑誌名

      Nature Chemical Biology

      巻: 15 ページ: 250-258

    • DOI

      10.1038/s41589-018-0204-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Optimized Reaction Pair of the CysHis Tag and Ni(II)-NTA Probe for Highly Selective Chemical Labeling of Membrane Proteins2019

    • 著者名/発表者名
      N. Zenmyo, H. Tokumaru, S. Uchinomiya, H. Fuchida, S. Tabata, I. Hamachi, R. Shigemoto, A. Ojida
    • 雑誌名

      Bull. Chem. Soc. Jpn.

      巻: 92 ページ: 995-1000

    • DOI

      10.1246/bcsj.20190034

    • 査読あり
  • [学会発表] 代謝検出蛍光プローブの開発(1)脂肪酸β酸化の生細胞蛍光イメージング2019

    • 著者名/発表者名
      内之宮祥平・松永直哉・坂本茉莉・Weber Mark・鴨田光一郎・大戸茂弘・王子田彰夫
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
  • [学会発表] β-クロロフルオロエチルアミンの反応活性化機構の解析とタンパク質ラベル化への応用2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤磨美、進藤直哉、王子田彰夫
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
  • [学会発表] 不可逆阻害剤への応用を指向したひずみ解消型反応基の開発2019

    • 著者名/発表者名
      徳永啓佑、進藤直哉、王子田彰夫
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
  • [学会発表] CFA基の反応特性を応用した第三世代型EGFR不可逆阻害剤の開発2019

    • 著者名/発表者名
      郭 暁林、進藤直哉、、王子田彰夫
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
  • [学会発表] 一細胞代謝イメージング:脂肪酸β酸化を可視化する蛍光プローブの開発2019

    • 著者名/発表者名
      内之宮祥平, 松永直哉, 川越亮介, 鴨田光一郎, 大戸茂弘, 王子田彰夫
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 反応性フラグメントライブラリーを利用した抗マラリア薬の開発2019

    • 著者名/発表者名
      冨安美月, 下津曲華子, 進藤直哉, 渕田大和, 三浦千鶴, 大澤智代, 王子田彰夫
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] コバレント阻害剤の標的選択性向上を指向した新規反応基の探索とキナーゼ阻害剤への応用2019

    • 著者名/発表者名
      進藤直哉
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 蛍光小分子プローブによる脂肪酸β酸化の生細胞イメージング2018

    • 著者名/発表者名
      内之宮祥平, 川越亮介, Weber Mark, 坂本茉莉, 王子田彰夫
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会第13回年会
  • [学会発表] コバレントドラッグへの応用を目指したひずみ解消型反応基の開発2018

    • 著者名/発表者名
      徳永啓佑,進藤直哉,王子田彰夫
    • 学会等名
      創薬懇話会in志賀島
  • [学会発表] CFA基の反応特性を利用したキナーゼ阻害剤の開発2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤磨美,進藤直哉,渕田大和,三浦千鶴,岡本 恵,初山勇次,小野真弓,渡 公佑,王子田彰夫
    • 学会等名
      創薬懇話会in志賀島
  • [学会発表] CFA基を有する第三世代EGFR阻害剤の開発2018

    • 著者名/発表者名
      郭暁林, 進藤直哉, 渕田大和, 佐藤磨美, 稲森遼, 渡公佑, 小野真弓, 王子田彰夫
    • 学会等名
      第55回化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] 反応性フラグメントライブラリーを利用した抗マラリア薬の開発2018

    • 著者名/発表者名
      冨安美月, 下津曲華子, 進藤直哉, 渕田大和, 三浦千鶴, 大澤智代, 王子田彰夫
    • 学会等名
      第55回化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] 狙ったタンパク質と選択的に共有結合を作るコバレントドラッグの有機化学2018

    • 著者名/発表者名
      進藤直哉
    • 学会等名
      第6回BRIGHT symposium
    • 招待講演
  • [学会発表] タンパク質システインを標的とするケミカルバイオロジー:イメージングとコバレントドラッグ開発への応用2018

    • 著者名/発表者名
      王子田彰夫
    • 学会等名
      第16回レドックス・ライフイノベーションシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] CFAケミストリーの選択的かつ不可逆的コバレントドラッグ開発への応用 (1)2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤磨美,進藤直哉,渕田大和,桑田啓子,渡 公佑,小野真弓,王子田彰夫
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] CFAケミストリーの選択的かつ不可逆的コバレントドラッグ開発への応用 (2)2018

    • 著者名/発表者名
      進藤直哉,渕田大和,佐藤磨美,桑田啓子,渡 公佑,小野真弓,王子田彰夫
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] タンパク質の不可逆阻害を指向したひずみ解消型反応基の開発2018

    • 著者名/発表者名
      徳永啓佑,進藤直哉,王子田彰夫,タンパク質の不可逆阻害を指向したひずみ解消型反応基の開発
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] 蛍光小分子による脂肪酸β酸化の1細胞イメージング2018

    • 著者名/発表者名
      内之宮祥平,川越亮介,Weber Mark,坂本茉莉,鴨田光一郎,王子田彰夫
    • 学会等名
      第12回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] Selective and reversible covalent modification of non-catalytic cysteines with weakly reactive α-chlorofluoroacetamides2018

    • 著者名/発表者名
      Akio Ojida
    • 学会等名
      TSB2018
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Reversible covalent modification of non-catalytic cysteines with α-chlorofluoroacetamide (CFA)2018

    • 著者名/発表者名
      Akio Ojida
    • 学会等名
      10th Singapore International Chemistry Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 九州大学薬学研究院創薬ケミカルバイオロジー研究室ホームページ

    • URL

      http://bunseki.phar.kyushu-u.ac.jp

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公開日: 2019-12-27  

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