研究領域 | 分子夾雑の生命化学 |
研究課題/領域番号 |
17H06354
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
馬場 嘉信 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30183916)
|
研究分担者 |
小野島 大介 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任講師 (40510219)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
|
キーワード | ナノバイオ |
研究実績の概要 |
本研究は、がん病態環境の分子夾雑マッピングデバイスの確立を最終目標として、ナノバイオ夾雑環境デバイス開発に取り組むものであり、本年度は、研究方法として、(1)がん微小環境計測ガラスデバイス、及び(2)分子夾雑人工知能解析を研究開発項目に設定した。がん細胞を整列捕捉するガラスのマイクロ穴加工実験や、がん細胞の蛍光・ラマン計測とディープラーニングの実証実験を進めた結果、単一細胞を整列捕捉するガラスのマイクロ穴空間加工や、単一細胞の蛍光・ラマン計測と機械学習による分類解析の実証実験を達成した。
研究開発項目(1)では、細胞捕捉とラマン分光分析を行う捕捉素材や表面コーティングを最適化し、細胞フィルタリングと検出精度を向上させるデバイス開発を進めた。細胞を捕捉するガラスデバイスの微細加工に伴う表面特性の変化を検証し、レーザー、アニール、エッジング等の表面処理を試験した結果、スペクトル計測に基づく評価により、レファレンスとする無アルカリガラス基板と同等の表面状態を持つガラスデバイスの作製プロセスを確立できた。
研究開発項目(2)では、装置新調におけるカスタマイズにより光学系と検出系を高感度化し、ラマン散乱光の分光分析実験に基づく単一細胞の検出とスペクトル解析による細胞の分類解析を進めた。分光器焦点距離を25%以上縮めてCCD検出器をEMCCDに変更した計測系を構築し、アミド結合に由来するピークからマッピング計測した結果、がん細胞株(H358)をタンパク質の分布から高精度にイメージングすることが可能となった。さらに、スペクトルピークのパターン解析の検証の結果、二種の細胞を主成分解析から分類できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、がん病態環境の分子夾雑マッピングを可能とするナノバイオ夾雑環境デバイスを創出し、がん微小環境における分子夾雑の解析を行うことである。本年度は、単一細胞を整列捕捉するガラスのマイクロ穴空間加工や、単一細胞の蛍光・ラマン計測と機械学習による分類解析の実証実験を達成することで、がん細胞における分子夾雑解析デバイス構築に成功しており、現在までの達成度はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究実績を発展させた研究として、がん細胞周辺の代謝産物やエクソソームをマッピングするガラスのナノ構造加工実験や、がん細胞周辺の蛍光・ラマンマッピング計測とディープラーニングの実証実験を進める。H29までに単一細胞を整列捕捉するガラスのマイクロ穴空間加工を達成したため、H30はエクソソームを濃縮捕捉するナノ穴空間加工に向けて、H29までの成果を応用した開発を行う。また、H29までに単一細胞の蛍光・ラマン計測と機械学習による分類解析の実証実験を達成したため、H30はエクソソームの計測と成分解析に向けて、H29までの成果を応用した開発を行う。
|