計画研究
昨年度開発を実施したマイクロチャンバーデバイスでの溶液交換の知見を生かし、マイクロチャンバー開口部に作成した脂質二重膜を浸透圧変化によって変形させる実験系の構築を行った。これにより、hybrid cellの体積を能動的に変化させることが可能になり、体積変化による細胞内夾雑環境の状態変化が引き起こす細胞機能への影響を調査出来る。そこで、脂質二重膜を張ったマイクロチャンバーの内液と外液の塩濃度を変化させ、浸透圧を加えたときの脂質二重膜の変形を調べた。まずは内液となる溶液をチャンバーに導入し、脂質溶液を流して脂質二重膜をチャンバー開口部に作成する。続いて、外液となる溶液を導入するが、塩強度を変えた外液を複数種類準備し、導入する。容器内の塩強度が大きく、外液の塩強度が低い場合、容器内部から外部に向けて浸透圧が発生するため、脂質二重膜の膨張が観察されることが期待される。共焦点顕微鏡において実際の変化を観察したところ、浸透圧がかかるとチャンバー開口部の脂質二重膜が膨れ上がり、ドーム状の構造を形成していることがわかった。これは、浸透圧により膜形状を変化させることでチャンバー内の体積を変化させることが出来ることを示している。続いて、外液の塩強度を変化させて浸透圧を連続的に変化させたときの脂質二重膜の形状変化を調べたところ、浸透圧が高いほど膜の曲率が大きくなり、大きなドームを形成することがわかった。この結果より、浸透圧の大きさによって、リアルタイムにチャンバー体積を変化させることが出来ることが示された。その変化の大きさを調べるため、共焦点顕微鏡画像より体積を計算して比較を行ったところ最大と最小で1.3倍程度しか変化が見られなかった。細胞内夾雑環境を大きく変化させるためにはさらなる変化が必要だと考えられる。そのためより大きな浸透圧変化が得られる実験系の検討が必要となる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Lab on a chip
巻: - ページ: -
10.1039/D2LC00065B
ACS Synthetic Biology
巻: 10 ページ: 2179-2186
10.1021/acssynbio.0c00584