計画研究
前年度までに、四肢動物の胚発生における筋-骨格結合樹立の精密観察により、進化上この結合関係が変化するときの発生基盤の一端が真皮下部に分化する結合組織細胞による筋前駆細胞や筋芽細胞の移動誘導にあることが解明されつつあった。今年度は、既に展開しているニワトリ胚を用いた発生擾乱実験を通して、筋-骨格結合に変異をもたらしうるこの発生機構の異所的再現実験を展開し、予想通りに結合関係が変異するか、また、どの程度の可塑性をもって変異が生じるのかを検証を試みた。また、比較形態学的探索の一端として、オーストラリアハイギョにおける肉鰭の筋の発生を解析し、浅内転筋と浅外転筋は、四肢動物における広背筋と胸筋と配置が似ているが、後者と異なり肢芽から体幹部方向へ筋原基が伸長する発生過程(inーout過程)は見られず、この発生機構は四肢動物系統で成立した進化上新しいものである可能性が高いことを示した。さらに、脊椎動物における筋骨格系の進化的傾向の全容解明に向けて、化石記録にもとづく形態進化過程の解析も展開した。その中で、奇妙な形態で知られるデボン紀パレオスポンディルスの化石についてシンクロトロン放射光X線μCTを駆使した精密形態観察をもとに系統解析を行ったところ、幼生的特徴を持つ四肢動物型類であると推定された。このことは、新規の筋-骨格結合(つなぎ変え)が成立した鰭から四肢への移行は、幼生段階を持つ動物で生じたという可能性を示唆する。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件、 招待講演 10件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Nature
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