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2020 年度 実績報告書

肺線維症における炎症細胞社会

計画研究

研究領域予防を科学する炎症細胞社会学
研究課題/領域番号 17H06392
研究機関東京理科大学

研究代表者

松島 綱治  東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (50222427)

研究分担者 橋本 真一  和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 教授 (00313099)
上羽 悟史  東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 准教授 (00447385)
伊藤 利洋  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00595712)
七野 成之  東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 助教 (70822435)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワード肺線維症 / single-cell RNA-seq / 細胞間相互作用
研究実績の概要

肺線維症における肺の構造破壊は、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、マクロファージなど様々な細胞種の相互作用によって調節されていると考えられているが、その実態は不明なままである。我々は、組織中の数千~数万の各1細胞のトランスクリプトームを、高感度、高効率に解析可能な、新規シングルセルトランスクリプトーム法の開発に成功した(特許申請中)。2020年度は、2019年度見出したブレオマイシン・シリカ両モデルにおいてday7以降共通して増加するCCR2非依存的な間質マクロファージ集団につき、細胞間相互作用解析により、活性化線維芽細胞や上皮細胞に対して作用している可能性のある液性因子Xを見出した。Xは当該マクロファージ特異的に発現しており、Xの経気道投与により、肺線維症が誘導され、また線維芽細胞の活性化が誘導されることが見いだされた。これに基づき、XのKOマウスを導入し、またXの下流にDTRおよびCreを発現するノックインマウスを新たに樹立し、現在その機能解析を実施している。また、2020年度はヒトリウマチ誘導間質性肺炎由来線維芽細胞と上皮細胞のco-cultureによるオルガノイド系を確立し、遺伝子発現解析により、organoid matrigelのcontraction能と相関する遺伝子群を見出した。またオルガノイドにおける未病状態のモデルとして、オルガノイドを低用量のブレオマイシンに暴露する系を確立し、線維芽細胞-上皮細胞のinteractionの変化を捉えるため、scRNA-seq解析中である。また、2019年に樹立した肺線維症自然発症マウスモデルの病態進行は緩やかなため、より解析が容易となるよう、ifngKOマウスとの交配を進め解析予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2020年度は、線維化の病態悪化を担うマクロファージサブセット及びそれらマクロファージより産生され、活性化線維芽細胞や上皮細胞に対して作用する複数の因子を同定することに成功し、またさらなるメカニズムの検討のための新規ノックインマウスの樹立に成功した。また、上記知見のヒトへの外挿性検証のための系として、凍結ヒト線維化肺由来手術検体を用いた線維芽細胞-上皮細胞のオルガノイド系の確立に成功し、線維芽細胞のphenotypeの違い(origanoid培養時のmatrigelのcontraction等)と相関する遺伝子群が同定でき、またストレス介入系として低用量ブレオマイシン暴露による傷害が可能なことを見出した。このように、未病状態の解析や、病態悪化の引き金となる可能性のある細胞群を同定が順調にすすんでいる、またヒトへの外挿性を検証可能な新たな系の確立に成功しため、進捗状況を上記のように判断した。

今後の研究の推進方策

2021年度は、CCR2非依存的な間質マクロファージより産生される液性因子の欠損、また当該マクロファージの欠損による、肺線維症病態の変化および炎症細胞社会の変化につき解析をすすめ、上記因子の欠損に伴う炎症細胞社会変化のモデル化を行う。さらに、奈良県立医科大学・大阪大学との共同研究により、ヒト線維化肺の解析症例を進め、また凍結検体を用いたオルガノイドモデルの解析を行うことでヒトへの外挿性を検討する。また、A02領域で得られた老化細胞可視化マウスモデルの解析もすすめ、老化細胞に対する予防介入が炎症細胞社会・肺線維症の発症に対して与える影響を解析する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Transient Depletion of CD4 + Cells Induces Remodeling of the TCR Repertoire in Gastrointestinal Cancer.2021

    • 著者名/発表者名
      Aoki H, Ueha S, Shichino S, Ogiwara H, Shitara K, Shimomura M, Suzuki T, Nakatsura T, Yamashita M, Kitano S, Kuroda S, Wakabayashi M, Kurachi M, Ito S, Doi T, Matsushima K.
    • 雑誌名

      Cancer Immunol Res.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1158/2326-6066.CIR-20-0989.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Generation of a p16 Reporter Mouse and Its Use to Characterize and Target p16high Cells In Vivo.2020

    • 著者名/発表者名
      S. Omori, TW. Wang, Y. Johmura, T. Kanai, Y. Nakano, ....., N. Yoshida, K. Matsushima, HR. Ueda, A. Miyajima, M. Nakanishi.
    • 雑誌名

      Cell Metab.

      巻: 32 ページ: 814-828

    • DOI

      10.1016/j.cmet.2020.09.006.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The increased frequency of methicillin-resistant Staphylococcus aureus with low MIC of beta-lactam antibiotics isolated from hospitalized patients.2020

    • 著者名/発表者名
      Y. Iwata, N. Sakai, I. Yoneda, K. Satou, K. Furuichi, Y. Senda, Y. Sakai-Takemori, T. Wada, S. Fujita, H. Ogura, K. Sato, T. Minami, K. Yamaguchi, S. Kitajima, T. Toyama, Y. Yamamura, T. Miyagawa, A. Hara, M. Shimizu, Y. Sakai, K. Ikeo, S. Shichino, S. Ueha, T. Nakajima, K. Matsushima, T. Wada.
    • 雑誌名

      J Infect Chemother.

      巻: 26 ページ: 604-610

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2020.01.016.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Collagen adhesion gene is associated with bloodstream infections caused by methicillin-resistant Staphylococcus aureus.2020

    • 著者名/発表者名
      Y. Iwata, K. Satou, K. Furuichi, I. Yoneda T. Matsumura, ....., S. Ueha, T. Nakajima, K. Matsushima, S. Kaneko, T. Wada.
    • 雑誌名

      Int J Infect Dis.

      巻: 91 ページ: 22-31

    • DOI

      10.1016/j.ijid.2019.11.003.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 肺線維症のsingle cell transcriptome解析に基づく治療標的候補分子探索2021

    • 著者名/発表者名
      七野成之
    • 学会等名
      ゲノム創薬・創発フォーラム第5回シンポジウム
  • [学会発表] シングルセルトランスクリプトーム解析の現状と、それに基づく肺線維症治療標的候補分子探索2021

    • 著者名/発表者名
      七野成之
    • 学会等名
      第20回分子予防環境医学研究会
  • [学会発表] 新規single-cell RNA-seq解析を用いた肺線維症における脂質代謝関連遺伝子変動とその役割の解析2020

    • 著者名/発表者名
      七野成之
    • 学会等名
      第93回日本生化学会大会
  • [学会発表] 新規single-cell RNA-seq解析法TAS-Seqを用いた肺線維症における細胞間相互作用ネットワークにおけるハブ因子の同定2020

    • 著者名/発表者名
      七野成之
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] TCRレパトア解析による抗腫瘍免疫モニタリング2020

    • 著者名/発表者名
      上羽悟史
    • 学会等名
      第24回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] 末梢血-腫瘍間で重複するTCRレパトアは、消化器癌患者に対するPD-1阻害療法の有効性を予測しうる2020

    • 著者名/発表者名
      青木寛泰, 上羽悟史, 中村能章, 七野成之, 中島裕理, 下村真菜美, 中面哲也, 吉野孝之, 松島綱治
    • 学会等名
      第24回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] Identification of the HMGN1 immunostimulatory motif as an adjuvant for PD-L1 blockade therapy.2020

    • 著者名/発表者名
      CHANG-YU CHEN, UEHA Satoshi, YOKOCHI Shoji, ISHIWATA Yoshiro, OGIWARA Haru, DESHIMARU Shungo, SHIBAYAMA Shiro, MATSUSHIMA kouji
    • 学会等名
      第24回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] 1細胞遺伝子発現解析から観る腫瘍浸潤樹状細胞の多様性2020

    • 著者名/発表者名
      上羽悟史, 七野成之, 小川達郎, 荻原春, 松島綱治
    • 学会等名
      第24回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [備考] 予防を科学する炎症細胞社会学ホームページ

    • URL

      http://inflammationcellularsociology.org/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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