計画研究
・アンフォテリシンBは重篤な深在性真菌感染症の治療薬である。その選択毒性は、真菌細胞に含まれるエルゴステロールを認識して、イオン透過性チャネルを形成することによって発現する。しかし、世界中の研究者の努力にも拘わらず、チャネル構造は未解明のままであった。今回、我々は固体NMR、有機合成と分子動力学計算を用いることによって、過去50年来の謎を解くことに成功した。チャネル構造の解明は、この重要医薬品の薬理活性向上と副作用の軽減に役立つと期待される。・電位依存性イオンチャネルに特異的に作用する生物活性リガンドの創製:フグ毒テトロドトキシンの推定生合成前駆体の合成を進め、前年度合成したTb-242Cに続き、Tb-210B, 226, 258の初の全合成と、ヘミケタールTTXの8-deoxy体の合成に成功した。また、カリウムチャネル(Kv 1.5)の阻害活性が報告されている海産天然物ネオデブロモアプリシアトキシンB(neo-deBr-ATX-B)と関連物質 neo-deBr-ATX-H, オシラトキシンH (OTX-H), OTX-Iの全合成にも成功した。今後、これら合成した化合物群の各種イオンチャネルに対する阻害活性を評価する予定である。・2つの海洋生物毒の作用機序の解明研究:致死性海藻毒ポリカバノシドBがヒトCav1.2を活性化することをパッチクランプ法で確認した。ドウモイ酸の環化酵素を大腸菌で発現し、化学合成基質と酵素反応で新規のドウモイ酸の類縁体を調製して活性を調べた。活性発現には側鎖末端にカルボニル基が必要であった。マイトトキシンの作用機序を解明するために、 CRISPRスクリーニングの結果を受けて、7つの遺伝子をそれぞれ欠損させたHAP1細胞株を調達した。欠損によりマイトトキシンの細胞毒性を増強、減弱させる遺伝子が一つずつ見出され、CRISPRスクリーニングの結果が担保された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 3件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (50件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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