• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

植物宿主特異的毒素における化学コミュニケーションの理解と制御

計画研究

研究領域化学コミュニケーションのフロンティア
研究課題/領域番号 17H06407
研究機関東北大学

研究代表者

上田 実  東北大学, 理学研究科, 教授 (60265931)

研究分担者 高岡 洋輔  東北大学, 理学研究科, 准教授 (80599762)
加治 拓哉  東北大学, 理学研究科, 助教 (80835520)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワード宿主選択的毒素 / AK-トキシン / コロナチン
研究実績の概要

植物毒素を用いる植物ー微生物間相互作用の解明を目的とする研究を行った。本年は、植物毒素コロナチンを親分子とする構造展開によって、植物ホルモン受容体のうち、植物の微生物感染耐性惹起に関与する受容体サブタイプを選択的に活性化する分子の開発に成功した。この分子をモデル植物シロイヌナズナに投与して行った網羅的遺伝子発現解析によって、これまで困難であった病原菌感染応答の分子機構の一端を解明することができた。また、通常では、植物の病原菌感染耐性は、植物の生長阻害とトレードオフの関係にあるが、本手法ではこれらを切り離して活性化できることが明らかになり、既存の遺伝学的手法と比較して、ケミカルバイオロジー手法の優れた点を示すことができた。本分子はm植物ホルモンのシグナル伝達の内の一部のみを選択的に活性化する一方で、遺伝子発現の抑制は歩と度起こさないことが明らかになった。これによって、植物の生長防御には、細胞壁の生合成を抑制する遺伝子群の発現が関与することが明らかになった。これらの成果は、現在論文として投稿準備を進めている。
また、宿主特異的毒素をベースとしたプローブ分子に関しては論文投稿のために必要なデータがそろい次第投稿を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

植物ホルモン受容体を選択的に活性化することで、植物ー微生物間の相互作用に関与する遺伝子群を網羅的に解析できるようになったことは大きな成果である。これまでの遺伝学では達成できなかった成果を、ケミカルバイオロジーによって達成できた点は、今後の研究の方向性に大きな影響をもつと考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、植物ー微生物間の相互作用に関与する植物特殊代謝物の生合成に関与する植物ホルモン受容体の解明とそのシグナル伝達解明を可能とする分子技術の開発に注力する。植物ー微生物間相互作用には、防御応答関連タンパク質以外にも、ファイトアレキシンやグルコシノレートなどの植物が生産する小分子群が大きな役割を果たしている。これらの生産は、今回開発した分子では活性化されないため、新たな分子の開発が必要である。既に候補分子を見出しており、その作用機構解明を予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)

  • [国際共同研究] CNB-CSIC(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      CNB-CSIC
  • [雑誌論文] Protein?protein interactions between jasmonate-related master regulator MYC and transcriptional mediator MED25 depend on a short binding domain2022

    • 著者名/発表者名
      Takaoka Yousuke、Suzuki Kaho、Nozawa Akira、Takahashi Hirotaka、Sawasaki Tatsuya、Ueda Minoru
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 298 ページ: 101504~101504

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2021.101504

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Extended JAZ degron sequence for plant hormone binding in jasmonate co-receptor of tomato SlCOI1-SlJAZ2021

    • 著者名/発表者名
      Saito Rina、Hayashi Kengo、Nomoto Haruna、Nakayama Misuzu、Takaoka Yousuke、Saito Hiroaki、Yamagami Souhei、Muto Toshiya、Ueda Minoru
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 13612

    • DOI

      10.1038/s41598-021-93067-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rational design of a stapled JAZ9 peptide inhibiting protein?protein interaction of a plant transcription factor2021

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Kaho、Takaoka Yousuke、Ueda Minoru
    • 雑誌名

      RSC Chemical Biology

      巻: 2 ページ: 499~502

    • DOI

      10.1039/D0CB00204F

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Deciphering of OPDA signaling components in the momilactone producing Moss Calohypnum plumiforme2021

    • 著者名/発表者名
      H. Inagaki, *K. Miyamoto, N. Ando, K. Murakami, K. Sugisawa, S. Morita, E. Yumoto, M. Teruya, K. Uchida, N. Kato, T. Kaji, Y. Takaoka, Y. Hojo, T. Shinya, I. Galis, A. Nozawa, T. Sawasaki, H.Nojiri, M. Ueda, K. Okada
    • 雑誌名

      Front. Plant Sci.

      巻: 12 ページ: 987

    • DOI

      10.3389/fpls.2021.688565

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi