計画研究
「ChemProteoBaseの拡充化・高度化、並びに、改変CETSAの開発」:ChemProteoBase(間接法)解析の精度向上のために、作用標的の明らかな標準化合物のプロテオーム解析を行い、基準となる296スポットの発現データを登録することによって、ChemProteoBaseのデータベース拡充を行った。作用標的未知の化合物についてChemProteoBase解析を行うことによって化合物の作用標的につながる結果を得た(Angew Chem Int Ed Engl 2017, J Antibiot 2017)。また、放線菌のプロテオーム解析を行うことによって、動物細胞であるHeLa細胞以外の種でも、同様の解析手法が有用であることが示された(ACS Synth Biol 2017)。新たに2-D DIGEを利用した2DE-CETSAの解析系(直接法)を構築するために、まず、標的既知の化合物について、HeLaライゼートを用いて化合物存在下・非存在下のサンプルについて45℃から65℃の範囲で熱処理した。変性たんぱく質を遠心で除去したのち、1次元のSDS-PAGEを行い、抗体を用いて検出することによって、化合物の標的たんぱく質の安定性に変化があることを確認した。検討した化合物の1つであるゲルダナマイシンを用いてサンプルを調製し、2次元電気泳動を行い、2-D DIGEのシステムを用いて定量解析を行なったところ、阻害剤の標的分子であるHSP90ファミリーたんぱく質の熱安定性が他のタンパクに比べ顕著に増加した。この結果により本解析系が化合物の標的解析に有効であることが示唆された。「有用生物活性リガンドの開発」:細胞の代謝制御機構を標的とした生物活性リガンドを効率的に取得する目的で、化合物アレイを用いた標的ベースの探索や細胞表現型を指標としたセルベースの探索を行なった。
1: 当初の計画以上に進展している
作用標的の明らかな既知物質を用いたChemProteoBaseのデータベースの拡張は順調に進んでおり、様々な標的に対応する可能性を高めている。以前からの共同研究が、幾つかの成果に結びついた(Angew Chem Int Ed Engl 2017, J Antibiot 2017)。また、2-D DIGEを利用した2DE-CETSAの解析系の構築については、スタンダードの化合物を用いた条件検討を行い、条件がかなり絞り込めたことは、予想以上に計画が進んでいるところである。さらに、その条件を用いて、探索研究で得られた化合物について、解析を進めているが、熱安定性に変化があるたんぱく質が化合物によって異なることが明らかになっており、幾つかの候補たんぱく質も見出されている。系を確立し解析を進め、今までのChemProteoBaseと組み合わせることによって、より多様な標的に対応した解析が可能となることが期待される。
1)引き続きChemProteoBaseの拡張のための既知化合物の解析を行うほか、スポットの同定情報を考慮した解析法を組み込むことによって、迅速でより情報量の多い結果を返すシステムの構築を行う。2)2DE-CETSAの解析系については条件検討を含め構築が進んでいる。解析系の有用性を示し、さらに新規化合物の解析に応用する。3)有用生物活性リガンドの開発のために、化合物アレイによる標的ベース探索・細胞表現型に基づくセルベース探索を行い、そこで得られた化合物について、ChemProteoBase解析や2DE-CETSAの解析系を適応し、解析系の有用性を示すほか、新規化合物の標的を解析する。さらに、プロジェクト内の新規化合物の解析を行うことによって、プロジェクトに貢献する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 8件、 招待講演 15件) 図書 (1件) 備考 (1件)
ACS Synth Biol
巻: 6 ページ: 2339~2349
10.1021/acssynbio.7b00249
Angew Chem Int Ed Engl
巻: 56 ページ: 8153~8157
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J Antibiot
巻: 70 ページ: 429~434
10.1038/ja.2016.99
ChemistrySelect
巻: 2 ページ: 1533~1536
10.1002/slct.201602015
Chem Biol Drug Des
巻: 89 ページ: 862~869
10.1111/cbdd.12909
Nat Chem Biol
巻: 13 ページ: 982~993
10.1038/nchembio.2436
http://www.cbrg.riken.jp/csrs/ja/