計画研究
「ChemProteoBaseの拡充化・高度化、並びに、改変CETSAの開発」:昨年度に引き続きChemProteoBaseのデータベース拡充を行った。がん細胞の増殖阻害を指標にNPDepoライブラリーより探索された化合物の中から、ChemProteoBase、ならびに、細胞の形態を指標としたMorphoBaseを用いた統合表現型プロファイリング法を用いて、新規作用が予測される化合物NPD9055を見出した。MSを用いたケミカルプロテオミクスを用いて結合タンパク質の解析を行い、 NPD9055が3量体Giタンパク質に結合し、調節化合物として働くことが明らかになった(Biosci. Biotechnol. Biochem. 84: 2484-2490, 2020)。また、昨年度開発した2DE-CETSAついては、さらに解析系の改良を行うとともに、班員との共同研究を通して、新規化合物の解析をおこなった。「有用生物活性リガンドの開発」:班員との共同研究で、光親和型固定化法で調製した化合物ビーズによる結合タンパク質の解析法を用いてMiclxinの標的分子の解析を行った。その結果、Miclxin はMIC60の阻害剤であること、β-カテニン変異がん細胞にミトコンドリアストレスを介してアポトーシスを誘導することが明らかになった(ACS Chem. Biol. 15:2195-2204, 2020)。また、シロイヌナズナとイネの塩耐性を増強する化合物FSL0260が複合体Iに結合することが明らかとなった(Sci. Rep. 10:8691, 2020)。さらに、かび毒であるテヌアゾン酸の研究の過程で、生合成酵素のケト合成酵素ドメインの立体構造を明らかにし、テヌアゾン酸の生合成反応メカニズムを解明した(J. Biol. Chem. 295: 11602-11612,2020)。
1: 当初の計画以上に進展している
作用標的の明らかな既知物質を用いたChemProteoBaseのデータベースの拡張やシステムの開発は順調に進んでおり、様々な標的に対応する可能性を高めている。これらの解析系を用いて生理活性物質を解析することや、それに関連したプロテオミクス の手法を用いた解析によって、共同研究を含む幾つかの成果に結びついた(Ikeda H et al, ACS Chem. Biol. 15:2195-2204, 2020, Sako K et al, Sci. Rep.10:8691, 2020, Sophonnithiprasert T et al, Heliyon 6:e05200 2020)。昨年度構築した2-D DIGEを利用した新しい解析系2DE-CETSAを利用して、新規化合物の解析に取りかかれたことは、予想以上に計画が進んでいることを示している。さらに、解析系の最適化を進め、今までのChemProteoBaseと組み合わせることによって、より多様な標的に対応した解析が可能となることが期待される。
1)引き続きChemProteoBaseの拡張のための既知化合物の解析を行うほか、スポットの同定情報を考慮した解析法を改良することによって、システムの改良を行う。2)構築された2DE-CETSAの解析系については、さらに良い解析系にしていくために系の最適化を行なっていく。新規化合物の解析に応用することによって、化合物の標的タンパク質を明らかにすることを通して、解析系の有用性を示す。3)有用生物活性リガンドの開発のために、化合物アレイによる標的ベース探索・細胞表現型に基づくセルベース探索を行い、そこで得られた化合物について、ChemProteoBase解析や2DE-CETSAの解析系を適用し、解析系の有用性を示すほか、新規化合物の標的を解析する。領域内の、慶応大学・榊原教授、理研・Dr. Boone、順天堂大学・井本教授、公募班の松本博士らと共同研究を進めているが、さらに、プロジェクト内の新規化合物の解析を行うことによって、プロジェクトに貢献する。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (24件) (うち国際共著 6件、 査読あり 24件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)
European Journal of Orthodontics
巻: 43 ページ: 658~664
10.1093/ejo/cjaa067
J Antibiot
巻: - ページ: -
10.1038/s41429-021-00420-7
Biosci Biotechnol Biochem
巻: 85 ページ: 1290-1293
10.1093/bbb/zbab021
Cell Chem Biol
10.1016/j.chembiol.2021.01.009
Haematologica
巻: 106 ページ: 1172-1177
10.3324/haematol.2019.244418
巻: 85 ページ: 714-721
10.1093/bbb/zbaa082
巻: 85 ページ: 126-133
10.1093/bbb/zbaa035
巻: 85 ページ: 69-76
10.1093/bbb/zbaa051
ACS Chem Biol
巻: 16 ページ: 360-370
10.1021/acschembio.0c00889
Nat Chem Biol
巻: 17 ページ: 335-343
10.1038/s41589-020-00676-4
Med Chem
10.2174/1573406416666200817160708
Int J Mol Sci
巻: 21 ページ: E9150
10.3390/ijms21239150
J Nat Prod
巻: 83 ページ: 3598-3605
10.1021/acs.jnatprod.0c00755
Environ Pollut
巻: 266 ページ: 115179
10.1016/j.envpol.2020.115179
Heliyon
巻: 6 ページ: e05200
10.1016/j.heliyon.2020.e05200
巻: 84 ページ: 2484-2490
10.1080/09168451.2020.1812375
巻: 84 ページ: 2113-2120
10.1080/09168451.2020.1789445
巻: 73 ページ: 721-728
10.1038/s41429-020-0355-9
Aging
巻: 12 ページ: 13991-14018
10.18632/aging.103521
巻: 15 ページ: 2195-2204
10.1021/acschembio.0c00381
J Biol Chem
巻: 295 ページ: 11602-11612
10.1074/jbc.RA120.013105
Sci Rep
巻: 10 ページ: 10230
10.1038/s41598-020-66974-y
巻: 10 ページ: 8691
10.1038/s41598-020-65614-9
巻: 73 ページ: 475-479
10.1038/s41429-020-0295-4
http://www.cbrg.riken.jp/csrs/ja/