研究領域 | 細胞機能を司るオルガネラ・ゾーンの解読 |
研究課題/領域番号 |
17H06414
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 重臣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)
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研究分担者 |
田村 康 山形大学, 理学部, 准教授 (50631876)
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
吉田 秀郎 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (60378528)
矢木 宏和 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (70565423)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | オルガネラ |
研究実績の概要 |
1つのオルガネラの中には、異なる役割を担う場が存在し、本領域ではこれをオルガネラ・ゾーンと命名している。本研究では、「ミトコンドリアとゴルジ体の応答ゾーン」、「ミトコンドリアと小胞体、ゴルジ体の連携ゾーン」を中心に解析を行なった。 1、ゴルジ体ストレス応答ゾーン:このゾーンには、ゴルジ体ストレス時に、過剰な分泌たんぱく質の蓄積を抑制するためのGOMEDゾーン、プロテオグリカン型糖鎖修飾を行うプロテオグリカン・ゾーン、ムチン経路を担うムチン・ゾーンなどが存在する。(1)GOMEDに関しては、GOMEDを誘導できる低分子化合物を発見し、この化合物の作用機序を明らかにすることにより、ゴルジ体膜で起こっているストレス応答現象を概ね理解することに成功した。 (2)プロテオグリカン・ゾーンに関しては、これを制御するエンハンサーとしてPGSE-AとPGSE-Bを同定し、PGSE-Aに結合する転写因子の候補としてKLF familyの転写因子群を見出した。 (3)ムチン・ゾーンに関しては、このゾーンを増強する標的遺伝子とエンハンサー配列MGSEを同定した。 2、ミトコンドリア・小胞体(Mt-ER)連携ゾーン: 出芽酵母またはHeLa細胞のミトコンドリア,小胞体膜上に,split-GFP分子を標的化させることで任意のオルガネラ間コンタクトサイトを可視化,定量化する実験系の構築に成功した。これを定量化し,遺伝学スクリーニングと組み合わせることで,ミトコンドリア-小胞体間連携ゾーン形成に重要な役割を果たす新規因子の同定に成功した。また、①既存のERMES複合体が会合と解離を繰り返すこと、②適切なミトコンドリア分裂が不必要なERMES複合体の会合を阻害することでコンタクトサイトの数を調節すること、③小胞体ストレスが、ミトコンドリア-小胞体間コンタクトサイトの数を顕著に増加させることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゴルジ体のストレス応答ゾーン解析においては、イメージング(膜の形態変化の捕捉)、分子生物学的解析(ゾーン形成に関わる分子の同定とシグナル伝達機構の解明)、遺伝学的解析(ゾーン形成ができないマウスの作成)、転写レベルでの解析、数理解析などが順調に進行し、多方面からの解析による相乗的効果が現れ、実態解明が急速に進行した。Mt-ER連携ゾーン解析に関しても、split GFPを用いた可視化ツールの開発に成功した他、ゾーン構成因子の構造解析(ERMES複合体の構造)、遺伝学的解析(酵母の遺伝学)、細胞生物学的解析が進み、実態解明が急速に進行した。
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今後の研究の推進方策 |
ゴルジストレス応答ゾーンやMt-ER連携ゾーンの解析に関しては、様々な手法を駆使して研究が進んでいる。研究代表者と分担者の間での共同研究も有機的に機能しており、現在の研究を引き続き進めることにより、応答ゾーン、連携ゾーンの実態解明に至るものと考えている。また、新たなオルガネラ間の連携も複数見出されており、これらの実態解明も行っていく予定である。
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