計画研究
1つのオルガネラの中には、異なる役割を担う場が存在し、本領域ではこれをオルガネラ・ゾーンと命名している。本研究では、「ミトコンドリアとゴルジ体の応答ゾーン」、「ミトコンドリアと小胞体、ゴルジ体の連携ゾーン」を中心に解析を行なった。1、ゴルジ体応答ゾーン:このゾーンには、ゴルジ体ストレス時に、過剰な分泌たんぱく質の蓄積を抑制するためのGOMEDゾーン、タンパク質の転写翻訳制御するゾーン、ゴルジ体分子の運搬を制御するゾーンなどが存在する。(1)GOMEDに関しては、新規分子を3分子同定することに成功した他、初期分子機構の同定に成功した。即ち、(A)GOMEDは、Ulk1分子の746セリンのリン酸化を引き金として実行されること、(B)リン酸化Ulk1は、ゴルジ体に移動して、GOMEDを実行すること、(C)このUlk1リン酸化は、RIPK3によって実行されること、(D)GOMEDが実行されると、ゴルジ体から運搬される分子が分解されること、などを見出した。(2)転写翻訳制御ゾーンに関しては、転写因子としてKLF2を同定し、その活性制御機構を解析した結果、KLF2遺伝子が転写誘導を受けることを見出した。(3)ゴルジ体選別輸送ゾーンに関しては、内在性の糖転移酵素を対象とした選別輸送ゾーンの観察を行うことで、同じゴルジ槽に存在する糖転移酵素同士が異なるゾーンに局在することを発見した。2、ミトコンドリア・小胞体(Mt-ER)連携ゾーン:Split-GFPを用いた遺伝学スクリーニング,Split-APEX2を用いた生化学的解析により小胞体-ミトコンドリア間結合因子および結合調節因子の同定と機能解析を行い候補因子の同定に成功した。3、オルガネラゾーン研究に関わるケミカルバイオロジー:オルガネラ研究への応用が期待されるアルケニルアジドの環状アルキンとのクリック反応性について新知見を得た。
2: おおむね順調に進展している
ゴルジ体のストレス応答ゾーン解析においては、関連分子の同定、実行機構の詳細なメカニズム解明、遺伝学的解析(ゾーン形成ができないマウスの作成)、転写レベルでの解析、数理解析などが順調に進行し、多方面からの解析による相乗的効果が現れ、実態解明が急速に進行した。Mt-ER連携ゾーン解析に関しても、Split-GFPを用いた遺伝学スクリーニング,Split-APEX2を用いた生化学的解析を用いて、ゾーン構成因子の同定や機能解析に成功し、革新的な知見を得つつある。
ゴルジストレス応答ゾーンやMt-ER連携ゾーンの解析に関しては、ゾーンの実態解明に成功しつつある。研究代表者と分担者の間での有機的な連携により、今後、ゾーンの生理的、病理的な意義の解明を進める予定である。また、研究手法の開発により、新たなオルガネラゾーンも見出されつつあり、これらの実態解明も行っていく。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 17件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件、 招待講演 6件) 備考 (2件)
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