計画研究
[自然免疫応答におけるゴルジ体⇒エンドソーム⇒リソソーム連携ゾーンの解析]これまでの研究結果からリン酸化TBK1がトランスゴルジネットワークの一部の領域に存在することがわかった。TBK1がリン酸化する前の過程としてSTING上にTBK1がリクルートされることが示唆されているが、どのオルガネラでTBK1のリクルートが起きているかは明らかとなっていなかった。そこで今年度は、TBK1ノックアウト細胞を作成し、蛍光タンパク質タグ付きTBK1をレスキューして可視化し、TBK1がリクルートされるゾーンを同定した。その結果、TBK1のリクルートのステップもトランスゴルジネットワークの一部の領域で起きることを見出した。[小胞体カルジオリピンゾーンの解析]精巣には他の組織にはみられないカルジオリピン分子種、tetrapalmitoylcardiopin(TPCL)が存在する。TPCLの精巣における機能を検討した結果、TPCLは精子細胞に豊富に存在すること、TPCLは通常カルジオリピンが存在するミトコンドリアではなく、小胞体・小胞体ミトコンドリア接触膜に存在すること、TPCLは飽和型のCDP-DAGから新規合成系によって合成されること、TPCLは精子細胞の分化やcullin3の活性化に重要であることを見出した。これらの結果から、TPCLは精子細胞において小胞体膜ゾーンを形成し、Cullin3の活性化を促進することにより精子形成に重要な機能をしていることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
自然免疫応答におけるゴルジ体⇒エンドソーム⇒リソソーム連携ゾーンの解析において、TBK1がトランスゴルジネットワークの一部の領域にリクルートされることを明らかにしたこと、精子細胞にはtetrapalmitoylcardiopin(TPCL)が小胞体・小胞体ミトコンドリア接触膜に存在し、精子細胞の分化やcullin3の活性化に重要であることを見出したことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
[自然免疫応答におけるゴルジ体⇒エンドソーム⇒リソソーム連携ゾーンの解析]これまでにSTINGがゴルジ体で活性化したのちに、リサイクリングエンドソームを通過してリソソームへと輸送されることを明らかにしている (Nat Commun 2016) 。今後は、超解像度顕微鏡技術および電子顕微鏡技術を用いてゴルジ体⇒リサイクリングエンドソーム⇒リソソームの連 携ゾーンの膜の性質/形態を明らかにする。さらに、siRNAスクリーニングを行い、STINGのゴルジ体⇒エンドソーム⇒リソソーム輸送に関与する遺伝子を同定する。[小胞体カルジオリピンゾーンの解析]これまでに精子細胞にはtetrapalmitoylcardiopin(TPCL)が小胞体に存在し、精子細胞の分化やcullin3の活性化に重要であることを見出している。本年度はcullin3活性化に関わる分子をTPCLが減少したマウスで詳細に調べるとともに、影響があった分子についてin vitroでTPCLとの相互作用を検証する。また小胞体でTPCLが産生される分子機構を明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (23件) (うち招待講演 2件)
Nat Commun
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