• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

魚類の脳における性スペクトラム

計画研究

研究領域性スペクトラム - 連続する表現型としての雌雄
研究課題/領域番号 17H06429
研究機関東京大学

研究代表者

大久保 範聡  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10370131)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワード性スペクトラム / 魚類 / 脳 / 行動
研究実績の概要

これまでの我々の研究によって、メダカ(Oryzias latipes)の性行動中枢に「体内の性ステロイド状態に応じて可逆的に出現・消失する特殊なニューロン」を見出された。本年度はまず、そのニューロンの活性を人為的に抑制および過剰活性化することを可能とする変異体メダカの作出に着手した。そのための人工受容体DNAコンストラクトをいくつか完成させ、メダカ胚に導入した。

また、そのニューロンの形態観察から、「そのニューロンは、メス型の性行動を引き起こすために必要な神経ホルモンの遺伝子をはじめ、多くの遺伝子を活発に発現しているとともに、神経ホルモンを盛んに分泌するための分泌顆粒などの各種オルガネラを発達させている」との作業仮説を立てた。本年度は、その作業仮説のもと、透過型電子顕微鏡と免疫組織化学を組み合わせて、そのニューロンの細胞内構造を詳細に観察することを試みた。まだ明瞭な観察像が得られていないので、現在も引き続き作業を進めているが、仮説を支持するような予備データが得られつつある。

さらに、そのニューロンに特徴的な化学修飾の解析を進めた。これまでの研究によって、このニューロンでは、4種類のヒストン修飾とRNAポリメラーゼの修飾が周囲の他のニューロンよりも有意に亢進していることを見出していたが、本年度の解析によって、それらの化学修飾が、卵巣から分泌されるエストロゲン依存的に、このニューロンで亢進していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定よりも進んでいる研究項目と遅れている研究項目があるが、総合的にみると、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

おおむね順調に進展していると考えられるので、このまま本研究課題を推進していく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Expression of isotocin is male-specifically upregulated by gonadal androgen in the medaka brain2017

    • 著者名/発表者名
      Yamashita J, Kawabata Y, Okubo K
    • 雑誌名

      J Neuroendocrinol

      巻: 29 ページ: e12545

    • DOI

      10.1111/jne.12545.

    • 査読あり
  • [学会発表] 魚類の性の不思議な世界2018

    • 著者名/発表者名
      大久保範聡
    • 学会等名
      第11回日本性差医学・医療学会学術集会(公開シンポジウム「性差生物学の最近の進歩:進化の過程での性差」)
    • 招待講演
  • [学会発表] エストロゲン受容体Esr2bノックアウトメダカの性行動と生殖腺における表現型解析2018

    • 著者名/発表者名
      宮副大地・大久保範聡
    • 学会等名
      平成30年度日本水産学会春季大会
  • [学会発表] 真骨魚類の脳の性分化・性的可逆性に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      大久保範聡
    • 学会等名
      第42回日本比較内分泌学会(日本比較内分泌学会奨励賞受賞者講演)
    • 招待講演
  • [学会発表] メダカにおけるメス特異的なペプチド産生ニューロンの性ステロイド応答性と性的可逆性2017

    • 著者名/発表者名
      菊池結貴子・大久保範聡
    • 学会等名
      第42回日本比較内分泌学会
  • [学会発表] エストロゲン受容体ノックアウトメダカを用いた魚類の行動の性差形成メカニズムの解析2017

    • 著者名/発表者名
      宮副大地・大久保範聡
    • 学会等名
      第42回日本比較内分泌学会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi