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2019 年度 実績報告書

魚類の脳における性スペクトラム

計画研究

研究領域性スペクトラム - 連続する表現型としての雌雄
研究課題/領域番号 17H06429
研究機関東京大学

研究代表者

大久保 範聡  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10370131)

研究分担者 中城 光琴  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60824795)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワード性スペクトラム / 魚類 / 脳 / 行動
研究実績の概要

FeSPニューロンのRNA-seq解析によって得られた「FeSPニューロンで発現し、性行動パターンや性指向の性スペクトラム上の移動に深く関わると考えられた遺伝子」について、それらの変異体メダカを作出し、メスの性行動パターンを定量解析した。その結果、ptgrのノックアウトメスは、野生型メスと変わらない卵巣形態、成熟卵数、受精率を示すが、オスの求愛を受け入れるまでにかかる時間が短くなることが見出された。一方、ptgrのノックアウトオスには、目立った性行動上の変化は認められなかった。このことから、FeSPニューロンで発現するptgrは、メスがオスの求愛の受け入れを制御する分子として機能している可能性が示唆された。

本研究課題の申請時には、「FeSPニューロンで発現しているエストロゲン受容体の一種esr2bをノックアウトしたメスメダカは、オスの求愛を全く受け入れず、逆にオスに対して求愛を行うようになることが分かった。つまり、メスの性行動パターンがオス型に逆転したことになる」と記したが、esr2bノックアウトメスの行動解析をさらに進めたところ、オスに対してよりもメスに対して、より積極的に求愛することが分かった。この結果から、FeSPニューロンは性行動パターンだけでなく、性指向の性スペクトラム上の位置を規定する役割も担っていることが示唆された。

また、メスにアンドロゲンを投与すると、FeSPニューロンが消失するが、メスへのアンドロゲン投与は、脳内のエストロゲン量を劇的に減少させることが明らかとなった。したがって、メスにアンドロゲンを投与すると、FeSPニューロンが消失するのは、エストロゲンの減少による二次的な効果だと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

FeSPニューロン特異的に人工的な膜受容体を発現する変異体メダカの作製が上手くいっておらず、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

FeSPニューロン特異的に人工的な膜受容体を発現する変異体メダカの作製を引き続き行うとともに、順調に進展しているそれ以外の研究項目についても、引き続き取り組んでいく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Neuropeptide B mediates female sexual receptivity in medaka fish, acting in a female-specific but reversible manner2019

    • 著者名/発表者名
      Hiraki-Kajiyama T, Yamashita J, Yokoyama K, Kikuchi Y, Nakajo M, Miyazoe D, Nishiike Y, Ishikawa K, Hosono K, Kawabata-Sakata Y, Ansai S, Kinoshita M, Nagahama Y, Okubo K
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 8 ページ: -

    • DOI

      10.7554/eLife.39495

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 魚類の性行動パターンの性差形成と性的可逆性2019

    • 著者名/発表者名
      大久保範聡
    • 学会等名
      日本内分泌学会 第37回内分泌代謝学サマーセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] メス特異的なNpb発現を示すペプチドニューロンの性行動制御における役割2019

    • 著者名/発表者名
      中城 光琴、平木(梶山)十和子、大久保 範聡
    • 学会等名
      日本動物学会第90回大会
  • [学会発表] Sexually dimorphic neuropeptide B neurons in the ventral telencephalon, a leading candidate for the regulator of female reproductive behavior, show estrogen dependence and diurnal changes in their neuronal activities2019

    • 著者名/発表者名
      Nakajo M, Hiraki-Kajiyama T, Okubo K
    • 学会等名
      Neuroscience 2019 (Society for Neuroscience)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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