計画研究
紅色光合成細菌 Rsp. rubrumのカロテノイド欠損突然変異株(G9+株)から単離したLH1複合体に、高等植物由来のカロテノイドβ-アポ-8’-カロテナールを再構成することに成功した。再構成LH1の定常吸収および蛍光励起スペクトルの比較より、β-アポ-8’-カロテナールからB880バクテリオクロロフィル a(Bchl a)への励起エネルギー移動効率を80%と正確に定量した。フェムト秒時間分解吸収スペクトル測定とグローバルおよびターゲット解析により、β-アポ-8’-カロテナールのred-form S1/ICT励起状態を介して、92.1%の高効率でB880 Bchl aへの励起エネルギー移動が行われていることを明らかにした。サブナノ秒時間分解吸収測定とそれに続くグローバル解析を行ったところ、LH1に再構成したβ-アポ-8’-カロテナールは、光保護の機能をも完全に果たしていることを示した。これらの成果は、バクテリアの光合成光捕集系の機能を自然から学び、自然の摂理を越える効率を出すための方法を明確に提示した初めての研究報告例である。緑色植物の光捕集タンパク質LHCIIにおいて分子内振動と電子状態間ギャップとの量子共鳴が重要な役割を果たすことが提案された (Nat. Comm. 11 (2020) 1460.) 。本研究では、電子エネルギー移動の量子ダイナミクス計算を行うことで、光捕集タンパク質が内包色素分子の量子状態に及ぼす動的な揺らぎの効果を詳細に解析した。その結果、比較的低い振動数の振動モードが関与する量子共鳴は動的揺らぎに対して脆弱である一方で、比較的高い振動数のモードが関与する量子共鳴は動的揺らぎに対して頑健に維持され、その結果LHCIIにおける分子内振動と電子状態間ギャップとの量子共鳴が電子エネルギー輸送を一桁も加速し得るという結論を得た。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 10件、 招待講演 12件) 図書 (1件) 備考 (5件) 産業財産権 (1件)
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