研究領域 | 次世代物質探索のための離散幾何学 |
研究課題/領域番号 |
17H06463
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
下川 航也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60312633)
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研究分担者 |
石原 海 山口大学, 教育学部, 准教授 (40634762)
出口 哲生 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70227544)
伊藤 克司 東京工業大学, 理学院, 教授 (60221769)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | トポロジー / ネットワーク / 共連続構造 / トポロジー高分子 / 結び目 |
研究実績の概要 |
本年度は、これまでこの新学術領域研究として行って来た高分子のトポロジーに関する研究を、著書``Topology of Polymers''として石原氏、手塚氏とともにまとめ、Springer Monographから出版した。ここでは、多環状高分子の合成方法、そのトポロジーの数学的記述と命名法などをまとめている。また、金属とペプチドから構成される環が6つ絡まることで作られるカプセル状の分子のトポロジーを東大の藤田研究室とともに考察し、Nature Communicationsから2019年12月に出版した。この構造は交点数24を持つものであり、交点数が決定できる絡み目状の構造としては、これまでで世界で最も複雑なものとなっている。この絡み目は多面体から構成されるが、その構成方法を数学的に特徴付けた。この研究については、東京大学と埼玉大学からプレスリリースを発表した。また、共連続構造の数学的モデル化に関してもその分類成果を挙げ、論文として発表を準備している。ここでは、2つの共連続構造が与えられた場合に、どのような変形を行うと一方を他方に変形できるかを明らかにしている。 高分子に纏わる数学、化学、物理に関する国際会議を、2019年8月7日~9日に"Polymers and networks via topology and entanglement"として、お茶の水女子大学で開催した。この国際会議のアブストラクトは、小冊子としてまとめている。また、2019年12月に材料科学の大きな国際会議であるMRM2019において、招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高分子のトポロジーに関して、当初の予定通りのペースで研究が進んでいる。特に今年度は研究成果を著書として出版することが出来たことは、大きな成果であると考えている。また、今年度も国際会議を開催し、大変有意義な情報交換を行うことが出来た。さらに、領域外の方とのコラボレーションとして、東京大学の藤田誠氏との共同研究を行い、その成果を今年度もNature Communicationsから出版することが出来た。これは、交点数24をもつ絡み目のトポロジーをもつ分子があり、これまで観測されたもので最も交点数が多いものとなっている。この成果は、東京大学、埼玉大学からプレスリリースとして発表を行った。またこの論文は、Nature Communicationsの2019年の``Top 50 Chemistry and Materials Sciences Articles''に選出された。この共同研究の成果は、当初の計画には無い部分であり、世界記録としてプレスリリースを発表出来た点でも、当初の計画を上回る成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、高分子とトポロジーの研究を行う。特に、3相共連続構造に関する成果を2つの論文にまとめ投稿予定である。その中で3相共連続構造のリスト作りを行っており、そのデータをもとに材料設計を行う予定である。現在までの成果を、新学術領域外の研究者へ伝えるためのweb pageを作成している。また、金属とペプチドからなる分子構造の解析も続け、これまでに構成されている構造の特徴付けを行う予定である。
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