研究実績の概要 |
茎頂分裂組織(SAM)におけるサイトカイニン生合成と受容の空間的分離の重要性を検証するために、SAM最表細胞層であるL1層(LOG4 promoter)、中央帯(CLV3 promoter, LOG7 promoter)、形成中心(WUS promoter)の各組織で特異的に発現するプロモーター制御下でLOG遺伝子(LOG4およびLOG7)を発現するコンストラクを作成し、log多重変異株(log123457)に導入、それらのT2世代を確立した。これらのうち、CLV3promoterについては、3’UTR上にも組織特異的発現の関与する領域があることを指摘されたため、WUSも含め再度コンストラクトを作成し直した。これらの発芽5日目の植物体を固定化および透明化し、顕微鏡観察によりSAMのサイズを比較した。具体的にはlog多重変異株で見られるSAMサイズの縮小を回復できる効果の評価を行った。その結果、CLV3pro:LOG4およびCLV3pro:LOG7ではSAMのサイズが野生型と同等にまで回復したのに対し、WUSpro: LOG4, WUSpro: LOG7ではいずれも回復しなかった。サイトカイニンの受容体は形成中心領域で発現していることから、茎頂幹細胞の活性維持には、サイトカイニン生合成と受容の空間的な分離が重要であることが示唆された。 茎頂分裂組織内でのサイトカイニン輸送に関わる新規輸送体の同定については、茎頂領域で発現する輸送体遺伝子群をインシリコ解析により絞り込み、シロイヌナズナ培養細胞にアグロバクテリウムを介して導入した。その培養液中のサイトカイニン分析を行うことにより、2つの候補遺伝子CTC5, CTC13を選抜した。
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