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2020 年度 実績報告書

植物幹細胞の多能性を維持するメカニズムの解明

計画研究

研究領域植物の生命力を支える多能性幹細胞の基盤原理
研究課題/領域番号 17H06475
研究機関東北大学

研究代表者

経塚 淳子  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90273838)

研究分担者 豊岡 公徳  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級技師 (10360596)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31
キーワード幹細胞の多能性 / イネAPO1/APO2 / TAWAWA1 / ゼニゴケ / ヒメツリガネゴケ / 頂端幹細胞
研究実績の概要

成長ステージが進行するとメリステムの性質は無限に枝を作る段階(無限成長ステージ)から花芽(有限成長ステージ)に転換する。この転換のタイミングは、花序の形態や種子数を決定する。本研究では、無限成長性から有限成長性へとメリステムの性質が切替わるタイミングを決定するメカニズムについて、幹細胞の多能性の維持という観点から理解を深めることを目的とする。
ABERRANT PANICLE ORGANIZATION2 (APO2)は、(1) 花成後のSAMのサイズ増加 (2) 花序形成におけるメリステム(枝メリステム)の無限成長性(多能性)の維持、の2つの過程に必要である。この2つの機能が同一の機構に制御されるのか独立の現象であるのかを明らかにするために、APO2の下流遺伝子を単離解析した。花成直後のSAMサイズ増加時にWTとapo2のSAMで発現が変動する、花序形成時にAPO2と同じ発現パターンを示す、APO2が直接結合する、という3つの要件を満たす遺伝子を候補とした。特定した7つの候補遺伝子のうち3つ(NL1/OsGATA15、OsSPL14、RA2/OsCrll4)について解析したところ、これらの発現はapo2変異体で低下し、これらの機能欠損変異体ではapo2と同様に (1)と(2)の両方の過程が阻害された。したがって、APO2の2つの機能は共通の下流遺伝子群により制御されていることが強く示唆された。
TAWAWA1(TAW1)は、イネ花序メリステムを「多能性をもつ無限成長段階」にとどめる。ヒメツリガネゴケPpTAW1は頂端幹細胞で発現せず、幹細胞の不等分裂から生じる分化に向かう細胞で発現を始める。今年度はヒメツリガネゴケPpTAW1の下流因子を単離するために誘導システムを用いたRNAseqを行い、さらに1細胞トランスクリプトーム解析の条件を検討した

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

イネAPO2の下流遺伝子群を解析し、幹細胞の増殖性と幹細胞の未分化性が同じ遺伝子経路により制御されていることを示すことができた。ヒメツリガネゴケを用いた研究でも、TAWAWA1の機能解析を進めることができた。1細胞トランスクリプトーム解析の準備を進めることができた。このように当初設定した研究計画を遂行し、仮説の検証を進めることができたことからこのように自己評価した。

今後の研究の推進方策

イネの花序形成制御における幹細胞の未分化性制御に関しては、APO2の下流で働く遺伝子群とAPO2との遺伝学的関係の解析を終了し、論文として報告する。APO2はシロイヌナズナLEAFYのオーソログである。最近、LEAFYはPioneer Transcription Factor(PTF)であることが報告された。そこでAPO2についてもPTFである可能性を検証するための解析を進める。
ヒメツリガネゴケの頂端幹細胞の幹細胞性については、ヒメツリガネゴケ頂端の細胞群の遺伝子発現を網羅的に解析し、頂端幹細胞の非対称分裂、頂端幹細胞の維持におけるPpTAW1の機能を解明する。また、研究成果を論文として公表する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Fundamental mechanisms of the stem cell regulation in land plants: lesson from shoot apical cells in bryophytes2021

    • 著者名/発表者名
      Hata Yuki、Kyozuka Junko
    • 雑誌名

      Plant Molecular Biology

      巻: on line ahead ページ: on line ahead

    • DOI

      10.1007/s11103-021-01126-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Plant stem cell research is uncovering the secrets of longevity and persistent growth2021

    • 著者名/発表者名
      Umeda Masaaki、Ikeuchi Momoko、Ishikawa Masaki、Ito Toshiro、Nishihama Ryuichi、Kyozuka Junko、Torii Keiko U.、Satake Akiko、Goshima Gohta、Sakakibara Hitoshi
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: on line ahead ページ: on line ahead

    • DOI

      10.1111/tpj.15184

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Suppression of Leaf Blade Development by BLADE-ON-PETIOLE Orthologs Is a Common Strategy for Underground Rhizome Growth2020

    • 著者名/発表者名
      Toriba Taiyo、Tokunaga Hiroki、Nagasawa Kazuma、Nie Fanyu、Yoshida Akiko、Kyozuka Junko
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: 30 ページ: 509~516.e3

    • DOI

      10.1016/j.cub.2019.11.055

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The origin and evolution of the ALOG proteins, members of a plant-specific transcription factor family, in land plants2020

    • 著者名/発表者名
      Naramoto Satoshi、Hata Yuki、Kyozuka Junko
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: 133 ページ: 323~329

    • DOI

      10.1007/s10265-020-01171-6

    • 査読あり
  • [学会発表] メリステム制御因子TAWAWA1はヒメツリガネゴケの分化を調節する2020

    • 著者名/発表者名
      秦有輝、楢本悟史、日渡祐二、経塚淳子
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会
  • [学会発表] ゼニゴケK L信号伝達における抑制因子Mp S M X L発現のフィードバック制御2020

    • 著者名/発表者名
      小松 愛乃、水野 陽平、児玉 恭一、島崎 翔太、楢本 悟史、経塚 淳子
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会

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公開日: 2022-12-28  

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