研究概要 |
本研究は,高速処理と高度なデータマイニングを可能にするデジタル・ネットワークを基盤としてさまざまな主体が競争しながら相互に協調する過程を通して,共創的に新たな情報や知識を創出し,知識社会経済システムを発展させるプロセスのガバナンスについて,ミクロ・マクロ両面からアプローチし,社会の持続可能な発展を積極的に展望することを目的としている。最先端情報科学の研究と社会科学的アプローチを相互作用させて,新たな知識社会発展に向けたプロセス・ガバナンス(変革期のガバナンス)について研究する点に,本研究の独自性がある。 5年間の研究期間の初年度にあたる今年度は、「高度で信頼できるIT基盤・技術を利活用した開放的な共創システムに関する分析枠組みの構築」を目標として,以下の3つの課題に取り組んだ。 (1)センサーネットワーク電子地域コミュニティに関する研究…福岡県において,支援班によって構築されるグリッドコンピューティングの環境と連動したセンサーネットワーク健康管理実証実験基盤を構築し,地域健康管理サービスを行うための実証的研究を組織しつつある。来年度以降,この実験環境を利用して地域生活圏における産・学・官・民の連携による地域発展のガバナンスについて仮説を形成し,その実証的研究を展開する予定である。 (2)インタンジブルズに関する研究…情報セキュリティを中心に研究を行い,情報セキュリティ投資額と企業価値が正の相関関係にあることを実証的に明らかにするとともに,日米の政策当局者等に対して提言を行った。 (3)電子行政に関する研究…組織の制御範囲を越えた電子空間において社会基盤としてIT基盤技術をビルトインして共創を活性化させるため,電子行政のPDCAプロセスのガバナンスについて研究し,政策目標の価値連鎖モデルや電子行政成熟度評価モデルを構築した。
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