研究概要 |
情報爆発時代に対応するためには、超分散環境において高性能な仮想計算環境が自律的に構成され、その上で種々の特性を持つ大規模アプリケーションが安全安心かつ高性能に実行できる真のクラウド型システムおよびその技術の研究が急務である。本年度は以下の研究項目について要素技術の研究を推進した。各項目の成果は国内外の学会にて論文発表を行った。 1)GPUを用いた高性能基盤技術:CPUとGPUが混在する不均質な大規模環境において、CPUとGPU上で実行されているMapタスクの動的なプロファイルに基づいて、ジョブ実行時間を最小化するハイブリッドオンラインスケジューリングを提案した。 2)自律構成を行う大規模データ高速転送技術:AmazonEC2/S3,および,Windows Azureを対象として,2拠点クラウド間でのデータ転送を高速化する手法を提案した。複数の中継ノードを用意し,それらが自律的に協調することで、大規模データの高速転送を実現した。また、全国共同利用基盤センター群を中心に9拠点に設置したRENKEI-PoPストレージサーバを用いた拠点間データ転送の性能向上のための拠点間データ共有環境の配備を行った。 3)マルチリング型オーバーレイネットワークを用いたクラウド環境の資源管理:動的に変化するクラウド環境を、分散管理するための次世代オーバーレイネットワークを提案した。ネットワークの負荷を抑えながら、数万ノードオーダーのクラウド環境に対し、一貫した計算資源情報の管理を可能とした。 4)性能モデルに基づく計算資源割り当ての最適化:ワークフローアプリケーションの性能モデルを構築し小規模なワークフローの実行結果をもとに計算性能やI/O性能を見積もり,より大規模なワークフローでの性能の予測を行った。
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