以下の学術研究成果に加え、5年間に渡る研究成果を総合化した「情報コンシェルジェシステム」を開発した。 (1)映像の顕著性変動と視線運動の時空間相関分析に基づいた集中度推定:TV映像視聴時の視線運動から、映像に対するユーザの集中度を推定する手法を提案した。視線運動は映像の視覚的特性に応じて振る舞いを変えるため、提案手法では、まずTV映像から視線が向けられやすい顕著領域を抽出し、それらが持つ動きのダイナミクス(顕著フロー)と視線運動の時空間的な関係性を分析し、顕著フローの特性に応じて視線運動からの集中度推定法を変えることによって、その精度が向上できることを示した。 (2)Gaze Mirroring効果の定量的分析:情報システムが提供する複数の情報の中からユーザが好みにあった情報を選択する状況において、ディスプレイ上の擬人エージェントがユーザの注視行動を同期同調して模倣を行うGaze Mirroringを提案し、被験者実験を通じて、ユーザが興味を持つ対象への注視時間が長くなるという効果を確認した。 (3)コンテンツ・他者への関心度推定に基づく二者間合意形成支援システム:本研究では、2人のユーザが情報端末を共有して実空間内で合意形成を行う際のコミュニケーション・パターンを分析し、合意形成支援のためのシステム構築を行った。システムは、各ユーザの視線から関心の対象を推定し、両者の関心状態にずれが生じた場合に画面の提示内容やインタフェースを変化させることによって、そのずれに気づきを与える。被験者実験によって、提案システムの有効性を検証した。 【情報コンシェルジェ】上記のGaze Mirroring機能を備え、リアルタイムにユーザの視線を検出し、ディスプレイ上の複数コンテンツに対するユーザの興味・関心を推定し、音声対話を通じたコミュニケーションによって、WEBから収集された情報の分析、分かりやすい説明を行うシステムを開発し、実環境でのデモを通じてその有効性を示した。
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