研究領域 | 代表性を有する大規模日本語書き言葉コーパスの構築:21世紀の日本語研究の基盤整備 |
研究課題/領域番号 |
18061004
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研究機関 | 大阪外国語大学 |
研究代表者 |
田野村 忠温 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (40207204)
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研究分担者 |
服部 匡 同志社女子大学, 学芸学部, 教授 (40228490)
杉本 武 筑波大学, 人文社会科学研究科, 助教授 (70196749)
石井 正彦 大阪大学, 文学研究科, 助教授 (10159676)
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キーワード | 日本語学 / コーパス / 電子資料 |
研究概要 |
本研究計画は、事例研究の試行を通して日本語研究におけるコーパス利用の価値を明らかにし、日本語の新しい研究領域・手法を開発するとともに、それにより学界に対してコーパス利用の啓蒙・普及を図ることを主目的とする。 本年度は、その目的に沿って、各班員が事例研究を試行するとともに、研究会その他の場においてそうした研究の成果やコーパス利用の諸問題について討議した。 具体的には以下の事例研究を行った。 田野村は、コピュラ述語文の分析を行った。コピュラの異形態の分布の様相は複雑で、しかも、あいまいな面がある。数種類のコーパスを使ってコピュラ異形態の分布を調査するとともに、日本語研究におけるコーパスの種類や規模の問題について一般的な見地から若干の考察を行った。 服部は、程度副詞と述語の間の共起関係を、新聞記事のデータに因子分析の手法を適用して分析し、従来の内省に基づく分類・体系化と比較して研究方法の有効性を検証した。また、従来詳しい研究のなかった複合語「〜先」について、コーパスからの知見に基づいた分析・考察を行った。 杉本は、複合格助詞「によって」の分析を行った。複合格助詞の中には、補文をとるものがあり、独特の振る舞いをすることがある。「によって」の用法とコト節の形の補文のテンスの現れ方との関係を、新聞記事のデータを元に分析した。また、韓国語でも同様な現象があるかどうか、対照研究を行った。 石井は、新しい「コーパス語彙研究」として「通時コーパスを使った(現代語の)語彙変化の研究」の可能性を探った。毎日新聞のコラム「余録」欄の、1950年から2000年まで10年おきに入力したコーパス(50万語弱)を作成し、20世紀後半の日本語における語彙変化をとらえるための方法論について検討した。 来年度以後も引き続きこれらの研究を発展させるとともに、新たなテーマ・手法での研究の可能性を試行・模索する予定である。
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