研究概要 |
国語施策と国語教育役立てることのできる語彙表と漢字表を,代表性を有するコーパスに基づいて作成し,それらを活用する方法を開発することが目的である。研究の基磐となるデータベースとして,教科書コーパスと,コーパスに基づく語彙表・漢字表を構築し,これをもとに研究を展開した。平成19年度は,次の六つの個別課題について,括弧内の担当者が中心となって研究を進め,それぞれ以下のような成果を得た。 a)難解用語の抽出と言い換え(田中) 医療用語を例に,専門コーパスと一般コーパスの語彙頻度と比較して,難解語を重要語を抽出する方法を研究した。 b)現代社会に対応した常用漢字表・人名用漢字のあり方(相澤) 白書コーパスを用いて,漢字の使用実態調査を行い,現状の常用漢字表との重なりとずれを把握し,コーパスを漢字政策に役立てる方法を研究した。 c)文章作成における語彙選択指導(野村) 学習者の能力に応じた適切な語彙提示を考えるために,国語教科書で扱われている語彙項目について,生徒の難易度意識の調査を実施し,問題点を探索した。 d)概念体系構築のための語彙指導(研究協力者:鈴木一史(東京大学・教育学部付属中等教育学校・教論) 国語科における学習語彙と,社会で必要とされる語彙に着目し,国語科における語彙指導を効果的に行う際に必要となる,言葉を認識するネットワークとしての概念体系の構築方法を研究した。 e)国語力向上のための漢字指導(棚橋) 小学校6年生に配当されている漢字が,中学校科書コーパスにどのように出現しているかを考察し,国語科における漢字指導を語彙教育に関連づけていく方向を探究した。 f)分野別特徴語の抽出(研究協力者:近藤明日子(国立国語研究所・研究開発部門・特別奨励研究員) 中学校教科書コーパスを用いて,特定の教科に特徴的な語彙を抽出する方法を研究し,理科を事例に教科特徴語を抽出し,問題点を整理した。
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