計画研究
地球環境変化に対する海洋のフィードバック効果を定量化することが急務である。そこで本研究では、強力な赤外放射活性を示したり、有機エアロゾル核を形成したりすることで、大気化学的に重要で、かつ海洋がその収支に重要な役割を果たしていると考えられる微量気体成分について、その海洋表層における生成(分解)過程の詳細や環境条件変化に対する生成(分解)量の応答を明らかにすることを目的としている。また最新の地球化学的分析手法を駆使して大気・海洋の各種パラメータを定量し、他班に貢献することも併せて目的としている。平成22年度は計画の最終年度にあたり、亜熱帯域におけるこれまでの観測結果を再検証および補完することを目的として、北太平洋亜熱帯海域における二回目の総合観測航海(白鳳丸KH10-1次航海;SNIFFS II)に参加して、EI-PTR-MSを用いた大気-海洋間のDMS(ジメチルサルファイド)等のガス交換に関する観測や、培養中に溶存態の固定態窒素(TDN)へ移行する窒素固定速度等の観測を実施した。今回の観測はA03班の鈴木光次博士(北海道大学)と連携しながら観測を行うことで、微量気体成分とプランクトン種の対応関係を定量的に議論可能とした。またA02班内他グループの岩田徹博士(岡山大学)と連携して、フラックスブイにPTR-MSを組み合わせることで、プロファイル法によるDMSの大気-海洋間のガス交換速度の実観測を実現した。このような実験および考察を通じて各微量気体分子の生成・分解素過程の解明を行い、最終的には海洋の一般的なパラメータ(動・植物プランクトンの量や組成、バクテリアの活性、有機物量など)を用いて海洋から大気への各微量気体成分の放出量予測を実現し、目標である環境変化に対する定量的応答について考察を進めた。また得られた一連の成果を海外の学会で発表するとともに、観測の成果を中心に、論文にまとめ欧文誌に投稿し、一部は受理された。
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