計画研究
H22年度は以下の項目を実施した。船舶海洋定点観測および広域観測:北緯40度以北の北太平洋高緯度海域において2度わたる東西縦断観測調査を北大・おしょろ丸とJAMSTEC・白鳳丸を用いて実施し、温室効果気体の基礎データ(炭酸物質、DMS、N_2O、CH_4、水温、塩分、クロロフィル、珪酸塩、リン酸塩、硝酸塩、溶存酸素乱流・混合の直接測定等)の取得を行い、これらの結果とこれまでに得られている既存のデータをもとに気候へのフィードバック効果としての窒素フラックスの変動を解析した。その結果、現在、温暖化に伴い、少なくとも北太平洋においては大気-海洋の窒素循環ならびにそれに伴い栄養塩循環が変わりつつあることが明らかになった。アルゴリズム開発:船舶観測により得られる詳細な基礎観測データおよび、これまでに得られている既存のデータをもとに、炭酸物質・DMS・N_2O・CH_4のアルゴリズムの開発に着手した結果、DMSの鉛直構造は、栄養塩・光強度・クロロフィル濃度と良い相関があるアルゴリズムを構築できることがわかった。この手法を用いて、西部北太平洋亜寒帯域におけるここ十年のDMS鉛直構造変動を解析し、DMS水柱鉛直積算量が増加していることを明らかとした。海洋循環モデル実験:20年変動が海洋環境変動に与える影響を単純化して組み込んだ数値モデルを用いて、北太平洋高緯度域への影響を評価し、観測で得られた結果と比較検討を行った結果、北太平洋の海洋環境長期変動は月活動に由来する潮汐変動によって支配されている可能性がかなりの確度で高いことが明らかとなった。また、さらに高解像度の潮汐混合を組み込んだ数値モデルを開発し、北太平洋亜寒帯海域での20年変動を概ね復元できた。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件)
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巻: (印刷中)
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