研究概要 |
高緯度、中緯度海域で大発生して大気への温室効果気体DMS放出する円石藻類や窒素固定作用をおこなうトリコデシミウム(Trichodesmium)藻類は、大気海洋間での物質循環に大きなインパクトを与えている。この2種の大発生する植物プランクトンに注目する。ベーリング海において円石藻類ブルームの維持機構やDMS放出の増加過程を明らかし、すでに開発している衛星判別手法を応用して時空間変動を明らかにする。東シナ海において衛星による赤潮の判別手法を開発し, エアロゾル等との関係を調べる。これまで衛星を利用してトリコデシミウムを判別する既存の手法を検討したが, この海域では利用が困難であった。現場データによってこの海域のトリコデシミウムの光学特性を明らかにして, 衛星による判別を行い, その時空間変動を明らかにする。さらに、衛星海色データを用いた植物プランクトン群の分類手法の開発を行う。 台風・黄砂など突発的なイベント前後の海上風、海表面流速場を人工衛星データから推定し、海洋上層での物質の移流・拡散過程を理解する。黄砂イベントに対する基礎生産の増加を検知し、特に、台風による鉛直混合、湧昇の時空間スケールに注目し、それが生物過程に与える影響を海色データと合わせ検証する。これまで準備してきた大気のメソスケール数値モデルと、大気擾乱に対する応答を表現する海洋モデルを結合し、台風等の気象擾乱に伴う海洋の物理的応答を調べ、衛星観測に基づく風応力、海面水温、クロロフィルa濃度などのデータに対して比較検証すると共に、それらの変化をもたらす乱流・湧昇などの物理的機構を明らかにする。
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