研究概要 |
海水中の窒素・リンの形態別測定に関し,新たなシステムの導入や測定方法の検討を行った。まず白鳳丸KH-05-2次航海(2005年8〜9月)、淡青丸KT-05-24次航海(2005年9〜10月)、KT-07-15次航海(2007年6〜7月)、および海鷹丸第21次航海(2006年11〜12月)において、西部太平洋の貧栄養海域表層から採取した海水試料を、SEAL社の全窒素・全リン自動測定装置を用いて分析した。得られた結果については、極低濃度栄養塩類および二酸化炭素分圧の連続計測結果、さらには植物プランクトン群集組成の結果などと併せて現在解析を進めている(神田)。また,海水中でのリン化合物の存在形態に基づく特性と生物利用性の解明を目的として、高温乾式焙焼法(HTDC)と湿式化学分解法(CWO)の二つの手法による粒子状リンの測定法の検討を行った。様々なリンの標準物質、参考試料等を用いた検討の結果、改良型CWO法によりほとんどの成分、試料について良好な回収率が得られ、特に海洋表層の物質循環過程に関わるリン成分の測定法および有機態リンの分別法としてCWO法がより優れた方法であることを実証した(鈴村)。一方、有機物-微生物動態に関しても,新たな方法論の検討・確立を行った。まず,揮発性有機炭素,窒素濃度の測定法として,一般に用いられているパージ&トラップ抽出法に代わり,新しく蒸留法を検討・開発し,親水性画分を含む海水中の低分子,低沸点化合物全体の量を把握するのに有効であることを確認した(小川)。海水中の有機物の分解に関与する海洋細菌の群集組成の解析方法として、その密度に応じて分取する方法論を確立し、さらにそれを適用した結果、系統群に応じて異なる密度を持つことを明らかにした(木暮)。
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