研究領域 | 海洋表層・大気下層間の物質循環リンケージ |
研究課題/領域番号 |
18067007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (50260518)
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研究分担者 |
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10161895)
神田 穣太 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (60202032)
鈴村 昌弘 (独)産業技術総合研究所, 環境管理樗術研究部門, 主任研究員 (90357301)
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キーワード | 海洋生物地球化学 / 生元素動態 / 栄養塩類 / 海洋有機物 / 海洋微生物 / 海洋物質循環 |
研究概要 |
海洋表層における生元素循環及び微生物群集の動態を明らかにするための、新たな手法の検討・確立を行い、外洋、沿岸域の試料に対し適用を行った。まず、表層水中の全窒素・全リンを航走中に連続計測する装置を開発し、極低濃度栄養塩類の連続計測および植物プランクトン群集解析等と併せて、西部北太平洋亜熱帯域およびインド洋亜熱帯域において観測を行った。また相模湾および東京湾、南極海域において、栄養塩類、全窒素、全リン、溶存有機炭素、植物プランクトン群集の動態に関する観測を行った(神田)。粒子状リンの測定法に関して、外洋域試料を用いた検討を行い総合的な検証を終え、確立された改良過硫酸湿式分解法は、より簡便かつ安全な方法ながら、従来法に対して精度・感度などの点で劣らないことを示した。一方、生元素の循環を駆動する各種加水分解酵素の活性について検討したところ、タンパク質、糖類、リン酸エステルの分解に関わる酵素は酸性化の懸念されているpH範囲で顕著な変化が見られなかったが、脂質分解酵素はpH8から7への低下において著しい活性減少を示すことを明らかにした(鈴村)。海洋表層に蓄積する溶存有機物の微生物分解特性について海域による違いを保存実験により検討した。その結果、亜寒帯海域は亜熱帯海域に比べて蓄積している溶存有機炭素量が少ないのに対し、分解される量は亜寒帯域の方が圧倒的に多く、分解特性は現存量に依存せず、海域間で大きな違いが存在することが明らかとなった(小川)。海洋細菌による微小粒子の捕獲メカニズムに関し、モデル磁性粒子の捕獲に際して2価のカチオンが関与していること、細胞表面の構造物として、べん毛が捕獲に関わっていることを明らかにした。また、海洋細菌群集の群集構造解明のために現在広く使われているFISH法に関し、迅速化を目的とした改良法を検討し、LEDを利用した自動計数装置を用いた定量手法を確立した。
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