計画研究
海洋表層における生元素循環及び微生物群集の動態の詳細を明らかにするために新たに確立した手法を、外洋、沿岸域、または培養実験試料に適用した。まずは、伊豆周辺・宮古島周辺の貧栄養海域において極低濃度栄養塩類、溶存有機態窒素・リンの鉛直分布観測を行った。また、栄養塩添加に対する微生物群集の応答を調べるための船上培養実験も実施した(神田)。一方、これまでの複数の研究航海調査から、亜熱帯海域表層には他の外洋域に比べ、溶存有機物が卓越して蓄積している事が明らかとなってきたが、その蓄積メカニズムの一つとして、亜熱帯モード水による溶存有機物の輸送過程が関連している可能性を示した。また、これらの分解過程の詳細を調べるために、低分子と高分子に分別した分解実験とそれに応答する細菌群集組成の比較を行った(小川)。さらに有機物の分解過程については、これまで人工ビーズ実験により明らかとなった海洋細菌による有機物粒子の捕獲能に関し、メソコズム、マイクロコズムを用いたインキュベーション実験を行い、顕微鏡および原子間力顕微鏡での観察を組み合わせて細菌群集、海水中の微小粒子、捕獲されている微小粒子の数とサイズの測定を行うアプローチを試みた。その結果、粒子が数時間から半日程度の時間スケールで大きく変動する事が明らかになり、細菌と粒子との動的関係が示された(木暮)。生元素を構成する主要有機化合物の分解活性についてpHの影響を検討したところ、タンパク質と脂質の分解活性が酸性化で顕著に抑制されることを明らかにした。また、タンパク質やリン酸エステルの分解活性は沿岸から外洋にかけてpHの影響のパターンが大きく異なり、環境勾配が分解活性の支配要因の一つであることが示唆された。特にタンパク質については、植物プランクトン由来成分の分離・同定手法を検討し、電気泳動により複数のタンパク画分の存在を明らかにした(鈴村)。
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