計画研究
本年度前半は、学術研究船白鳳丸KH-10-1次航海(5/18~6/4:西部北太平洋亜熱帯海域)と学術研究船淡青丸KT-10-12次航海(7/8~7/19:相模湾・伊豆黒潮周辺海域)を中心に、試料の採取および船上での実験を行い、これまで得られてきた結果の再現性の確認及び、データ解析に必要な追加実験等を中心に行った。両航海共に貧栄養海域表層における、栄養塩、有機物、微生物の分布、の動態解析を中心に実施した。後半は、平行してこれまでのデータのとりまとめ、論文執筆にも取り組んだ。本年度得られた特に重要な成果2点について下記に要約を記す。(1)植物プランクトンやバクテリアの生産するリン加水分解酵素が、有機態リンの無機化プロセスを通して表層(有光層)生態系の一次生産やリン循環に果たす役割について、相模湾から黒潮沖にかけての現場観測及び船上実験により検討した。従来、測定対象となってきた酵素の潜在的最大活性に加えて、現場環境の基質濃度に対応した活性も同時に定量し、加水分解可能な有機態リン濃度、その加水分解速度および回転時間の分布を明らかにした。(2)これまでに得られた極低濃度栄養塩類の水平分布において、ケイ酸濃度のみが劇的に低下するという事例をいくつか発見した。ケイ酸枯渇と珪藻の栄養塩利用能との関係を明らかにするために、伊豆周辺海域において珪藻ブルームを誘導させる栄養塩添加培養実験を実施した。その結果、珪藻ブルームに伴うケイ酸:硝酸塩の利用比が1:1に近いことがわかった。これは好適な生育環境下における珪藻の栄養塩利用比と同程度であり、水平分布でみられたケイ酸枯渇については、珪藻の光合成色素組成に異常が認められていたため、生理状態の変化によってケイ酸のみを過剰に同化した結果と解釈された。
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