計画研究
2008年7〜9月に西部北太平洋で大気中と海水中のハロカーボン分圧を連続測定した。生物生産の高い親潮-黒潮混合域では海水中の塩化メチル、ヨウ化メチル、臭化メチル、ジメチルサルファイド(DMS)の濃度が上昇した。植物プランクトンがハロカーボンやDMSを活発に生成していたことが考えられる。亜熱帯海域の表面海域の表面海水は栄養塩が枯渇して生物生産が非常に少なく、海水中の臭化メチルとDMSの濃度は低下した。しかし、塩化メチルとヨウ化メチルは水温の上昇とともに濃度が急激に上昇した。亜熱帯海域では光化学反応や求核置換反応など非生物課程によるハロカーボンの生成が関与していた可能性がある。2008年秋に波照間島における大気中揮発性有機化合物の高頻度GC/MS測定の対象化合物として、新たにジョードメタン、クロロヨードメタン、ヨウ化エチルを加えた。ヨウ化エチル濃度の変動はヨウ化メチルと類似し、両者に共通の発生源が示唆された。光分解性の高いジョードメタンとクロロヨードメタンの大気中濃度には顕著な日変化が観測された。パージ&トラップGC/MSを用いて、汽水湖におけるハロカーボン17化合物の定点観測を毎週行った。夏季から秋季にかけてブロモホルム、ジョードメタン、クロロヨードメタン等の濃度が高くなることを見出した。これらハロカーボン濃度はクロロフィルをはじめとする色素の濃度とは相関しなかった。生物相、生育環境の変化がハロカーボン濃度に影響していることが示唆された。モノハロメタン類を生成する海産性藻類として、Pavlova sp.以外にも遺伝子解析が進んでいる珪藻の一種であるPhaeodactylum tricornutumに強いヨウ化メチル生成能を確認した。同反応を触媒する酵素遺伝子をクローニングするために、培養した藻体からcDNAライブラリーを作成し、保存性の高い配列情報を基にして目的酵素遺伝子のクローニングを行い、当該遺伝子と推定される酵素遺伝子の取得・発現に成功した。現在、遺伝子の解析を進めている。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件)
Environmental Science & Technology 42
ページ: 5706-5711
Journal of Geophysical Research 113
ページ: D18311
Geophysical Reserch Letters 35
ページ: L19182
Deep-Sea Reserch part II (印刷中)