研究領域 | 非平衡ソフトマター物理学の創成に関する総括研究 |
研究課題/領域番号 |
18068001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
折原 宏 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30177307)
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研究分担者 |
氏家 誠司 大分大学, 工学部, 教授 (40185004)
羅 亮皓 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00421991)
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キーワード | レオロジー / トポロジー / 高分子ブレンド / 電気粘性 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
互いに相溶しない2種類の流体を混合すると単一の流体には無い新たなレオロジー的性質が現れることが古くから知られており、その制御は工業的に重要である。本研究では流動および電場下において非相溶高分子ブレンドの3次元動的構造観察とレオロジー測定が同時にできるシステムを構築し、非平衡系における構造とレオロジーの関係、さらに転移機構を明らかにする。 本年度は、せん断流下で分散したドロプレットの交流電場に対する応答を調べた。その結果、応力が印加電場の周波数の2倍の周波数を持って振動し、周波数依存性にドロプレットの変形に由来する特徴的な緩和が見られた。その緩和時間はドロプレットサイズに比例し、せん断速度に反比例することが分かった。MM(Maffettone-Minale)モデルを用いてこの結果を解析したところ、ドロプレットの変形モードに対する固有値が複素数になることが判明した。実際、応答関数には実部が負になるところがあり、単純な緩和でなく、減衰振動であることが明らかとなった。この結果は、MMモデルによれば、ポテンシャルを持たない速度勾配テンソルの反対称部分に起因するものであり、非平衡定常系の顕著な特徴の一つであると考えられる。 低分子液晶の電気粘性効果の研究も行なった。本年度は一定せん断下で交流電場に対する応力応答を調べた。交流電場の周波数に対して特長的な緩和が見出された。液晶の構成方程式であるエリクセンーレスリーの方程式を解くことによって、応力の電場応答の表式を導出し、実験結果と比較したところ、両者はほぼ一致した。
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