研究領域 | 非平衡ソフトマター物理学の創成に関する総括研究 |
研究課題/領域番号 |
18068003
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
瀧本 淳一 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50261714)
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研究分担者 |
香田 智則 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60261715)
谷口 貴志 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60293669)
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キーワード | 環動ゲル / スリップリンク / 会合性高分子 / 滑車効果 / モンテカルロシミュレーション / 脂質二重膜 / 膜内相分離 |
研究概要 |
(1) 環動ゲルは、従来の化学ゲルと異なり、架橋点が分子鎖(連鎖構造)に沿って移動出来る(いわゆる滑車効果)のが特徴である。これまで絡み合い高分子に対して開発してきたスリップリンクモデルを元に、スリップリンクでの力学バランスを考慮することで滑車効果をモデル化した。浦山らの実験による非線形弾性の結果と比較し、一致が完全でないことから、実験系では滑車効果以外の効果も重要であるという予測を得た。(2) 会合性高分子について、これまでほとんど理論的取り扱いがされていない分子鎖中に複数の会合部位を持つ場合について、一本鎖モデルの範囲で厳密なモデル化を行った。絡み合い高分子の場合、分子鎖間の結合(=絡み合い)はレプテーション運動により分子鎖末端のみから解放されるが、会合性高分子では任意場所の会合が確率的に解放される。この違いがダイナミクスとレオロジーに及ぼす影響を調べている。(3) 平板状分子の系では、分子が積層して作る柱状の連鎖構造が形成する。この構造に対するずり流動の効果を調べるため、ずり流動下でのモンテカルロシミュレーション手法を開発した。平板分子系への予備的適用では、流動により連鎖構造の形成・配向が促進されることが示された。また、流動により体積膨張が生じるであろうという予測も得た。(4) 多成分の脂質二重膜の変形に関する今井らの興味深い実験結果の起源を探るため、膜の内部自由度(各成分の分率)と膜の変形ダイナミクスが結合した理論モデルを構築し、数値計算を行った。結果は実験結果を再現し、各成分の膜弾性率の差が膜の形状を介して相分離と結合し、形状に由来する異方的な相分離が引き起こされることが、膜の特異な変形の起源であることを明らかにした。
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